ビーイング系 オススメしたい名バラード特集
ビーイング系アーティストが世に出した楽曲は数知れず。B'zだけでもおよそ400曲、ZARDも同様におよそ400曲といった具合だ。その中でも、皆さんにぜひ聴いてもらいたいオススメの極上のロッカバラードを厳選して紹介する。
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オススメしたいビーイング系名バラード一覧
B'z
1.ALONE
2.Calling
3.もう一度キスしたかった
4.TIME
5.月光
6.恋じゃなくなる日
ZARD
7.この愛に泳ぎ疲れても
8.Just believe in love
9.来年の夏も
10.あなたに帰りたい
11.promised you
WANDS
12.世界が終るまでは…
13.星のない空の下で
14.MILLION MILES AWAY
15.ありふれた言葉で
16.ささやかな愛情
T-BOLAN
17.離したくはない
18.Bye For Now
19.おさえきれない この気持ち
20.Heart Of Gold
21.ガラスの刹那さ
22.瑠璃色のため息
23.涙の笑顔
DEEN
24.このまま君だけを奪い去りたい
25.翼を広げて
26.Teeanage dream
27.夢であるように
28.思いっきり 笑って
TUBE
29.きっと どこかで
PAMELAH
30.It's my fault
31.stay cool
Mi-Ke
32.Please Please Me, LOVE
KIX-S
33.また逢える…
MANISH
34.ゆずれない瞬間
宇徳敬子
35.きれいだと言ってくれた
川島だりあ
36.悲しき自由の果てに
B'z
まずは、ビーイング系のみならず、日本一売れたアーティストであるB'z。特に90年代前半には作曲松本孝弘と編曲明石昌夫のコンビによるメロディアスな名ロッカバラードが連発されていた。
1.ALONE
9枚目シングルA面(1st beat)
1991/10/30発売
作詞:稲葉浩志
作曲:松本孝弘
編曲:明石昌夫・松本孝弘
初動:38.1万枚
最高位:1位
売上:112.7万枚
2.Calling
22枚目シングルA面(1st beat)
1997/07/09発売
作詞:稲葉浩志
作曲:松本孝弘
編曲:松本孝弘・稲葉浩志・池田大介・徳永暁人
初動:50.6万枚
最高位:1位
売上:100.0万枚
序盤と終盤のハードロック調のパートと中盤のロッカバラード調のパートから構成されるというなんとも複雑な構成となっている。異なる2つの楽曲を合体させて制作されたという異色ぶりである。こういった楽曲形式を音楽用語では「複合三部形式」と呼ぶらしい。
歌詞は、ボーカル稲葉浩志からギター松本孝弘への想いを歌った歌詞となっている。「RUN」の続編とでも言おうか。松本とのパートナーとしての絆・尊敬の念・B'zというユニットとしての決心を歌った深い歌詞には筆者も深く感銘を受けたものだ。特に「♪どれだけ離れ顔が見えなくても 互いに忘れないのは 必要とし必要とされていること それがすべて他には 何もない♪」という歌詞はなんて深いのだろうと…ここまで信頼し尊敬できるパートナーがいることに対する羨望の感、そして二人の絆の深さに対する尊敬の念を感じずにはいられない。
3.もう一度キスしたかった
5枚目アルバム「IN THE LIFE」収録
1991/11/27発売
作詞:稲葉浩志
作曲:松本孝弘
編曲:明石昌夫・松本孝弘
初動:104.3万枚
最高位:1位
売上:240.3万枚
坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」を彷彿とさせるサビ頭のメロディーはわざとであろう。というのも、この頃にキャンペーンのために出演したテレビ番組(中京テレビ「5時SATマガジン」)で、よく聴く好きな曲ベスト3の一位に挙げているからである。
B'zがよく聴く好きな楽曲ベスト3
中京テレビ「5時SATマガジン」(1991年)
アレンジャーの明石昌夫もB'zの楽曲で一番名曲というくらいメロディーが良いだけに、シンプルな楽曲構成になっており、単純なメロディーの繰り返しのため退屈にならないように歌詞の展開性を工夫しストーリー性のある歌詞に仕上げたとのこと。アレンジもデジタルシンセが入って明るくなっているのは明石さんお得意の手法で、間の使い方を含めシンプルなメロディーが生きるクレバーなアレンジになっている。本楽曲の”泣きのギター”も一級品で、筆者の大好物である。
4.TIME
10枚目シングル「TIME」B面(2nd beat)
1992/5/27発売
作詞:稲葉浩志
作曲:松本孝弘
編曲:明石昌夫・松本孝弘
初動:58.7万枚
最高位:1位
売上:176.4万枚
穏やかなAメロとは対照的なゾクゾクさせるギター音が鳴り響くBメロ、シンセとディストーションギターとメロディーが絡み合うサビ、”これぞビーイング!”という素晴らしい方程式である。 間奏(Cメロ)の「♪逃げ出したくなるような夜に 抱きしめていてくれるのは誰 つまらないことで いっしょに笑いあえるのは誰♪」という歌詞は人間の幸せの本質かも…と思ったり。B'zのバラードは心がキューっとするような”静”を表した間奏部のアレンジ・歌詞が秀逸なのが、このような名曲を名曲たらしめているのだろう。
5.月光
6枚目アルバム「RUN」収録
1992/10/28発売
作詞:稲葉浩志
作曲:松本孝弘
編曲:明石昌夫・松本孝弘
初動:119.0万枚
最高位:1位
売上:219.7万枚
6.恋じゃなくなる日
4枚目ミニアルバム「FRIENDS」収録
1992/12/09発売
作詞:稲葉浩志
作曲:松本孝弘
編曲:明石昌夫・松本孝弘
初動:70.7万枚
最高位:1位
売上:135.6万枚
筆者大好物の泣きのギターが堪能できる一曲だ。個人的にはスキーに行くときに運転中に車内でよく聞いている。スキーシーズンはB'z「FRIENDS」、松任谷由実「私をスキーに連れてって主題歌・挿入歌」に限る。あとはWANDS「Jumpin' Jack Boy」でしょうか、「ミーズノー♪」のCMでしたしね。
明石昌夫曰く「松本さんはハードすぎると思っていた」みたいだが、ある程度ハードだからこそ、ピアノとタンバリンだけの間奏やアウトロの泣きのギターソロで心がキュ~っとするような切なさに襲われるのだと思うので、これはこれで良かったと思う。これぞ”引き算の美学”と言える楽曲に仕上がっていると言えよう。
この91~92年頃の稲葉浩志の歌詞は「夢」を追う自分と「二人の生活・愛」の狭間で葛藤する歌詞が多い。「もう一度キスしたかった」も「月光」も「TIME」もそして「恋じゃなくなる日」も。「もう一度キスしたかった」なんかは「IN THE LIFE」(和訳:生活の中で)に収録されているわけですしね。
ということで、B'zからは「ALONE」「Calling」「もう一度キスしたかった」「TIME」「月光」「恋じゃなくなる日」の6曲を選曲した。
ZARD
続いて、ZARD。ZARDはミディアムテンポの楽曲が多いため、バラードかそうでないかの判別がつきにくいが、筆者がバラードと分類した楽曲の中からオススメをピックアップした。
7.この愛に泳ぎ疲れても
11枚目シングル「この愛に泳ぎ疲れても/Boy」A面
1994/02/02発売
作詞:坂井泉水
作曲:織田哲郎
編曲:明石昌夫
初動:29.4万枚
最高位:1位
売上:88.7万枚
昭和の歌謡曲によく出てくるような情念深く重たい女性心理を描写した歌詞も相まってダークなイメージの楽曲になっている。重厚なベース音とディストーションギターが響く名バラードで、そこがガラスっぽくもねちっこい坂井泉水の声にマッチしている。
織田哲郎による珠玉のメロディーと明石昌夫による往年のアレンジでこれぞビーイングといった黄金比を体現した楽曲である。詳しくは以下の記事で解説しているので、気になる方はぜひチェック!
「この愛に泳ぎ疲れても」の詳しい解説記事はこちら↓
8.Just believe in love
14枚目シングル「Just believe in love」A面
1995/02/01発売
作詞:坂井泉水
作曲:春畑道哉
編曲:葉山たけし
初動:29.1万枚
最高位:2位
売上:65.6万枚
サビメロをなぞった高音のピアノの単音から一気に葉山たけしの泣きのディストーションギターが入ってくるイントロで幕を明ける一曲。そこからは大人しい楽曲構成で1コーラス目が始まり、徐々に楽器が増えていくビーイングらしいドラマチックなアレンジ。シンセによる煌びやかなアレンジになっていながら、ところどころで泣きのギターが入るアレンジは一級品だ。 坂井泉水の歌唱もギターと激しいドラムに負けないくらい力強い。落ちサビからのラスサビ、そしてアウトロのまくしたてるような泣きのギターソロは圧巻の一言である。
個人的には「この愛に泳ぎ疲れても」のような変化球を除いて、ZARDの純然たるバラードの中ではこの曲が一番名曲だと思う。
9.来年の夏も
5枚目アルバム「OH MY LOVE」収録
1994/06/04発売
作詞:坂井泉水
作曲:栗林誠一郎
編曲:明石昌夫
初動:58.0万枚
最高位:1位
売上:200.2万枚
ギターソロもディストーションギターではなく、アコースティックギターで、その後もサックスソロが続くオトナな構成になっている。ディストーションギターとピアノソロが絡み合うアウトロはアルバムをきれいに締めくくるかのような圧巻ぶりである。
10.あなたに帰りたい
5枚目アルバム「OH MY LOVE」収録
1994/06/04発売
作詞:坂井泉水
作曲:栗林誠一郎
編曲:明石昌夫
初動:58.0万枚
最高位:1位
売上:200.2万枚
「来年の夏も」でアルバムが終わるかのようなアウトロからの、この「あなたに帰りたい」の長い長いイントロは聴く者をZARDのアルバムの世界に誘うには効果的すぎるほどだ。相変わらず歌詞は情念深い女性の詞だが、アレンジは「来年の夏も」よりはいつものZARD(=ビーイングロック)そのものである。 泣きのギターソロも、「Just believe in love」ほど情熱的でないというか感情が入っていない感じに聴こえるのが、むしろこの歌詞に出てくる女性の気持ちが少し冷めたような雰囲気を醸し出して切なく悲しい。ストリングスがメインのアウトロはアルバムを締めくくるにふさわしい余韻である。
ちなみに、「あなたに帰りたい」は栗林誠一郎がBarbier名義でセルフカバーしており、こちらは葉山たけしが編曲している。同じ楽曲で明石昌夫と葉山たけしのアレンジを聴き比べできる貴重な一曲となっているのでぜひ聴き比べしてほしい。
11.promised you
作詞:坂井泉水
作曲:栗林誠一郎
編曲:明石昌夫 最後に半分番外編として紹介するのが33枚目のシングル「promised you」。CDとしては栗林誠一郎も明石昌夫もビーイングを脱退した後の2000年に別の編曲者でリリースされている。
しかし、タイアップの土曜サスペンスのED曲としては明石昌夫編曲のバージョンが放映された。 ZARDファンには、このテレビバージョンの方が往年の明石さんのアレンジで好みな人も多いようである。「音の絶妙な重さ、キラキラした華やかさ、そしてポップさ、このあたりがまさに往年の明石昌夫さんアレンジ」とのコメントもついている(上記動画参照)。 栗林誠一郎の作曲、明石昌夫の編曲という布陣を見るに、95年以前に制作されていたがお蔵入りしていたと思われる。
この他にもZARDの名曲は数知れずあるが、「きっと忘れない」や「心を開いて」はミディアムテンポの域を出ないかな(要はピアノが中心のスローテンポではない)と思ったので、今回の名バラード紹介では除外している。
WANDS
続いて、WANDS。WANDSもZARDと同様にミディアムテンポが比較的多いが、ZARDよりは区別しやすい。初期はダンサブルな楽曲が、中期はミディアムテンポが、後期はグランジ色の強い楽曲が多かったため、シングルA面でバラードは「寂しさは秋の色」「世界が終るまでは…」くらいである上、後者があまりにも大名曲すぎるので、アルバム曲中心の選曲となっている。
12.世界が終るまでは…
8枚目シングル「世界が終るまでは…」A面
1994/06/08発売
作詞:上杉昇
作曲:織田哲郎
編曲:葉山たけし
初動:28.1万枚
最高位:1位
売上:122.1万枚
織田哲郎によるキャッチーなメロディー、よりハードな音楽を志向する上杉昇の意向を見事に売れる楽曲に落とし込んだ葉山たけしによるアレンジ、上杉昇の天才的な詩が見事にかみあった90年代ビーイングを代表するロッカバラードといっても差支えないだろう。 柴崎浩のギターもカッコいいし、上杉昇のセクシーかつワイルドな声も素晴らしい。ビーイングの才能ある作家陣・アーティスト全員に最も脂が乗っていた時期であり、生まれるべくして生まれた名曲という風格さえ感じる。
13.星のない空の下で
2枚目アルバム「時の扉」収録
1993/04/17発売
作詞:上杉昇
作曲:柴崎浩
編曲:WANDS
初動:41.1万枚
最高位:1位
売上:162.6万枚
詩は若くして亡くなった友人に向けた詩で、「死」という重いテーマに向き合った楽曲となっている。とは言っても、曲調は典型的なビーイングロックのためそれほど重苦しくない。
14.MILLION MILES AWAY
4枚目アルバム「PIECE OF MY SOUL」収録
1995/04/24発売
作詞:上杉昇
作曲:木村真也
編曲:WANDS
初動:54.2万枚
最高位:1位
売上:96.4万枚
上杉昇が当時の葛藤を歌っているのであるが、このアルバムでは珍しくキーボードが前面に出ていて(バラードだから当たり前と言えば当たり前だが)、とにかく壮大なロッカバラードとなっている。全然シングルカットしても問題ないレベルのクオリティであるが、これがアルバム曲にとどまっているというのがミソなのだろう。
葉山たけしによるアレンジも秀逸で、静かな1コーラス目、一気にバンド編成になり、ソリッドなディストーションギターが響く2コーラス目、ギターソロからのピアノソロ、厚みのあるコーラスなど、静と動をうまく使い分けたドラマチックかつ、ポップさとハードさのバランスを取った賢いアレンジとなっている。
15.ありふれた言葉で
6枚目シングル「恋せよ乙女」B面
1993/07/07発売
作詞:上杉昇
作曲:柴崎浩
編曲:葉山たけし
初動:28.0万枚
最高位:1位
売上:81.9万枚
上杉昇の色っぽい声質が一番生きるバラードの類。極上のバラードと言えよう。煌びやかなシンセとキャッチーなメロディーに上杉昇の憂いがかったセクシーな声は鬼に金棒である。これで売れないわけがないとさえ思わされる。
16.ささやかな愛情
コンピレーションアルバム「vocal compilation 90's hits Vol.1〜male〜 at the BEING studio」収録
2003/04/25発売
作詞:上杉昇
作曲:柴崎浩
編曲:葉山たけし
初動:-
最高位:154位
売上:0.5万枚
「ささやかな愛情」
最後に紹介するのはWANDS解散後にリリースされたコンピレーションアルバム「vocal compilation 90's hits Vol.1〜male〜 at the BEING studio」に収録された未発表曲「ささやかな愛情」。上杉昇のビブラートがここまでかというくらいに堪能できるバラード。作詞は上杉昇、作曲は柴崎浩、編曲は葉山たけしと、柴崎の手による楽曲のクオリティの高さが目立つ。特にWANDSのバラードにおいては主力作家陣に並ぶ良いメロディーを量産していた。
なぜ上杉昇の在籍中にリリースできなかったのかは不明だが、このあたりの楽曲も含めて「Little Bit…」を94年の前半でフルアルバムとしてリリースすれば良かったのに…と思わないではない。まあ、東芝EMIとの契約の絡みがあって、93年中にミニアルバムとしてリリースしたのだろうが、B'zのようなコンセプトアルバムとしてミニアルバムを出していたわけではないので、「Little Bit…」自体からなんとも中途半端な印象が拭えない。
というわけで、WANDSからは「世界が終るまでは…」「星のない空の下で」「MILLION MILES AWAY」「ありふれた言葉で」「ささやかな愛情」の5曲をオススメする。
T-BOLAN
続いて、T-BOLAN。T-BOLANはそもそもバラードを得意とするバンドであったため、選びきれないほど名ロッカバラードがあるのだが、筆者の個人的な好みも多分に含みながら選曲する。
17.離したくはない
2枚目シングル「離したくはない」A面
1991/12/18発売
作詞:森友嵐士
作曲:森友嵐士
編曲:西田魔阿思惟
初動:-(74位)
最高位:15位
売上:47.2万枚
スナックで歌われすぎて1曲1000円になってしまった楽曲たち
(TV番組「月曜から夜ふかし」より)
最高位15位ながら有線で火がつき1年以上にわたりランクインし続けるロングヒットとなった。「T-BOLAN=名バラード」の図式を植え付けた一曲である。
チャンチャンチャンチャンというピアノの上に、ギター・ベース・ドラムがリズムを刻み、重厚感のあるコーラスが華を添えるロッカバラードのお手本のような一曲である。オケヒの多用のようなビーイング味の強いアレンジになっていないため、時代を超えて受け入れられやすい側面もあるのかもしれない。
有名な話ではあるが、1コーラス目のBメロの歌詞がバージョンによって異なっており、アルバム(「T-BOLAN」や「ホテルウーマン オリジナルサウンドトラック」)では「♪眠れぬ夜空に 耐えきれぬ程の いらだちばかりが 胸によみがえる」と歌っているが、シングル(カット)されたバージョンでは「♪諦めるよりも 信じることに賭けてみる思いを 抱きしめていたい」とより前向きな歌詞になっている。 とにもかくにも、森友嵐士の男らしく泥臭い歌唱とマッチした名曲だ。
18.Bye For Now
6枚目シングル「Bye For Now」A面
1992/11/18発売
作詞:森友嵐士
作曲:森友嵐士
編曲:明石昌夫・T-BOLAN
初動:17.7万枚
最高位:2位
売上:118.3万枚
「♪素敵な別れさ」という歌いだしは一気に聴く者の耳を惹きつけるフレーズだ。サビが2回ある構成になっており、「♪素敵な別れさ~」のところと「♪Oh Bye For Now マジじゃ言えないけれど~」のところと2回あるという面白い構成になっている。 編曲した明石昌夫によると、Aメロなしで2つのサビだけで楽曲を構成できないかという打診を事務所サイドから受けたが、Aメロの落ちる部分がないとあまりにもメリハリがなさすぎると珍しく押し返したとのこと。
明石昌夫YouTube「Bye For Nowのサビ」
楽曲構成こそ変則的なものの、2つのサビを擁するメロディーはキャッチーで、ディストーションギターとピアノを軸にしたアレンジも非常にカッコいい。また坪倉唯子による力強いアウトロのコーラスもひときわ目を引くものがある。非常に高い完成度のロッカバラードで非の打ち所がない。
19.おさえきれない この気持ち
7枚目シングル「おさえきれない この気持ち」A面
1993/02/10発売
作詞:森友嵐士
作曲:森友嵐士
編曲:明石昌夫・T-BOLAN
初動:28.2万枚
最高位:1位
売上:82.6万枚
変則的だった前作「Bye For Now」とは打って変わって、サビメロをなぞったディストーションギターから始まるどストレートなバラード。森友が「♪ぅおさえぇきれなぁ~い!」と熱く歌うからこそ、”おさえきれないこの気持ち”のインパクトが増している。
サビ頭のタイトル、サビ前のオケヒと心地よいディストーションギター…と、典型的なビーイングロックで、安定期の一曲だけに他の曲と混同されがちで記憶に残らないという面もあるが、名曲であることには違いない。
20.Heart Of Gold
2枚目シングル「離したくはない」B面
1991/12/18発売
作詞:森友嵐士
作曲:川島だりあ
編曲:明石昌夫・T-BOLAN
初動:-(74位)
最高位:15位
売上:47.2万枚
何より「♪夢と勇気があればそれで良い」なんてあまりにも正面から若者の無鉄砲な心情を描いているため、目を背けたくなるほどであるが、それが良い。この”まっすぐさ”が響く。A面の「離したくはない」よりもキラキラシンセが強く、随所に”明石昌夫エッセンス”を感じる。ビーイングどっぷりな筆者のような人間にとっては一番好きなアレンジだ。
A面でも十分に通用するくらいの名曲なのだが、これがB面にとどまっているあたりが、T-BOLANというバンドの凄さを示している。
21.ガラスの刹那さ
3枚目アルバム「SO BAD」収録
1992/11/11発売
作詞:森友嵐士
作曲:森友嵐士
編曲:明石昌夫・T-BOLAN
初動:30.1万枚
最高位:3位
売上:92.4万枚
明石昌夫YouTube切り抜きチャンネル
「ALONEのイントロが好評すぎて大変だった話」
まあ「Bye For Now」ほどのインパクトはないものの、「ガラスの刹那さ」も筆者好みだったりするわけである。オケヒ連打の直後の五味孝氏のチョーキングギターも素晴らしい。何度も言うが、森友嵐士の泥臭い声が本当にバラードにマッチしている。1コーラス目と2コーラス目の一瞬の静寂も名曲たる”妙”なのかもしれない。このあたりは往年の明石さんの腕だろう。
22.瑠璃色のため息
3枚目アルバム「SO BAD」収録
1992/11/11発売
作詞:森友嵐士
作曲:織田哲郎
編曲:明石昌夫・T-BOLAN
初動:30.1万枚
最高位:3位
売上:92.4万枚
織田哲郎にしては地味なメロディーだが、アルバム曲としては100点だろう。隠れた名曲中の名曲。上記動画で初めて見つけたときには、こんな名曲がまだあったとは…!と感動したほどだ。メロディーもさることながらギターも心地よい。
サビ前の”ため”からのインパクトのあるのサビ頭のメロディーと煌びやかなシンセが交錯するアレンジは織田哲郎×明石昌夫の黄金律である。シングルしか知らないというような層にぜひ勧めたい隠れた名曲である。
23.涙の笑顔
4枚目アルバム「HEART OF STONE」収録
1993/05/26発売
作詞:森友嵐士
作曲:森友嵐士
編曲:葉山たけし・T-BOLAN
初動:38.5万枚
最高位:1位
売上:86.6万枚
先ほど紹介した「Bye For Now」~「瑠璃色のため息」はいずれも明石昌夫の編曲であったが、本作は葉山たけし編曲。葉山さんのほうが大人の落ち着いたバラードという印象。T-BOLANの作風には明石さんの方が合っていたのかなというのが個人的な感想ではある。 ただ、明石昌夫の編曲に森友嵐士の熱い歌唱はシングルではインパクト大で良いが、何回も聴かれるアルバム曲ならこういった穏やかなバラードも良いのかもしれない。同じく葉山たけし編曲の「すれ違いの純情」も良い曲ではあるのだが、シングルばかりになりそうなので、あえて選曲からは外させてもらった。
というわけで、T-BOLANからは、「離したくはない」「Bye For Now」「おさえきれない この気持ち」「Heart Of Gold」「ガラスの刹那さ」「瑠璃色のため息」「涙の笑顔」の最多7曲を選曲した。
DEEN
次はDEEN。DEENもまたT-BOLANと毛色は異なるがバラードを得意とするバンドであるが、中でも選りすぐりの名曲を紹介する。
24.このまま君だけを奪い去りたい
1枚目シングル「このまま君だけを奪い去りたい」A面
1993/03/10発売
作詞:上杉昇
作曲:織田哲郎
編曲:葉山たけし
初動:5.3万枚
最高位:2位
売上:129.3万枚
「このまま君だけを奪い去りたい」の詳しい解説記事はこちら↓
25.翼を広げて
2枚目シングル「翼を広げて」A面
1993/07/17発売
作詞:坂井泉水
作曲:織田哲郎
編曲:葉山たけし
初動:6.3万枚
最高位:5位
売上:57.1万枚
とにかく大きなスケールを感じさせるメロディーが素晴らしい。歌詞についても、織田哲郎の「坂井泉水さんの書いた「翼を広げて」。それしかハマりようがない」という発言が全てである。 系譜としては「このまま君だけを奪い去りたい」を継ぐ曲で、DEENはこの路線のバンドでやっていくぞという方向性を世間に知らしめた楽曲でもある。
ビーイング系としては珍しく、合唱曲になるような楽曲で、実際に音楽の教科書に載ったこともあるらしい。こういった曲もできるんだぞということを示し、アレンジの幅を広げるという意味でも葉山たけしのキャリアに良い影響を与えたのではないだろうか。
この曲の一番の聴きどころは、ギターソロの後のコーラス全員が順番に歌っていくところであろう。池森秀一の青年らしい甘い声、生沢佑一の魂を感じる渋い声、川島だりあのパワフルそのものな声、大黒摩季の命が詰まったようなソウルフルな声、そしてガラスっぽくも鼻にかかったような特徴的な坂井泉水の声、ビーイングの誇るシンガーによる見事なコーラスワークで、この部分が聴けるだけでも一曲を通して聴く価値があるほどだ。 ただでさえスケールの大きいメロディーなのだが、ビーイングのコーラスオールスターが集うラスサビまでのアレンジの流れはスケールの大きさに拍車をかけており、このあたりは葉山たけしの手腕によるところが大きい。
26.Teenage dream
6枚目シングル「Teenage dream」A面
1995/03/27発売
作詞:坂井泉水
作曲:栗林誠一郎
編曲:葉山たけし
初動:16.6万枚
最高位:2位
売上:51.5万枚
歌詞を見て思うのは、「なんと温かい歌詞なんだろうか」ということである。「♪生きるのが下手でもいいじゃない 笑っていよう」なんてそんな簡単に言えることじゃない気がする。1995年の坂井泉水は、自身のアルバム「forever you」でも自伝的な歌詞を書いているし、若かりし過去を振り返るという新たな視点の歌詞が増えた年でもあったのかもしれない。楽曲自体の派手さが控えめな分、歌詞が強調される。
27.夢であるように
13枚目シングル「夢であるように」A面
1997/12/17発売
作詞:池森秀一
作曲:DEEN
編曲:池田大介
初動:3.4万枚
最高位:13位
売上:23.2万枚
長らくビーイングお抱えの作家陣に頼っていたDEENがバンドとして自立できた一曲ではないだろうか。非常に完成度が高い。もちろん池田大介のアレンジも見事でつけ入る隙がない。ディストーションギターとピアノとドラムのバランスが妙で上手く調和している。
28.思いっきり 笑って
1枚目アルバム「DEEN」収録
1994/09/14発売
作詞:川島だりあ
作曲:織田哲郎
編曲:葉山たけし
初動:46.4万枚
最高位:1位
売上:143.9万枚
川島だりあ×織田哲郎×葉山たけしというあまり見ないトリオの作品「思いっきり 笑って」。アルバム収録曲ながら織田哲郎の作曲でキヤノンのCMタイアップもついた。
「このまま君だけを奪い去りたい」や「翼を広げて」といったシングル曲に比べるといささか地味だが、アレンジもシンプルでメロディーの良さがじっくり堪能できる仕上がりとなっている。 そして、だりあさんの歌詞がまた良い。「思いっきり 笑って」というフレーズ。キャッチーで簡単な表現だが、どこかこう含みがあるというか…男性側が「♪この胸に誓うよ 守りつづけると」と宣言した上での「思いっきり 笑って」なんですよね…。愛の深さを感じるフレーズだなと思わされる。
ということで、DEENからは「このまま君だけを奪い去りたい」「翼を広げて」「Teenage dream」「夢であるように」「思いっきり 笑って」を選曲した。
TUBE
お次はTUBE。正直に言って、筆者はTUBEに関してはにわかファンなので、それほど曲を知らないというのが正直なところである。よって一曲だけ。
29.きっと どこかで
1枚目シングル「きっと どこかで」A面
1998/08/05発売
作詞:前田亘輝
作曲:春畑道哉
編曲:池田大介・TUBE
初動:11.6万枚
最高位:2位
売上:42.2万枚
ボーカルの前田亘輝曰く、「この曲は息継ぎが大変だから歌いたくない」とのこと。TUBEは結構崩して歌ったり、大変な曲を避けたりしがちなので、音源至上主義の筆者としてはう~んって感じなところもあるんですよね。T-BOLANも同様ですが…、ただ森友嵐士の場合は持病があるのでやむを得ない面もありますからね。
PAMELAH
お次はPAMELAH。実は、ZARDやB'zに並ぶくらいPAMELAHのことが好きな筆者。とはいえ、アルバムの枚数が少なく、バラード曲自体がそう多くないため、2曲のみ紹介する。
30.It's my fault
2枚目アルバム「Pure」収録
1996/09/04発売
作詞:水原由貴
作曲:小澤正澄
編曲:小澤正澄
初動:10.9万枚
最高位:3位
売上:21.4万枚
「もう一度キスしたかった」や「Just Believe in love」「ささやかな愛情」「このまま君だけを奪い去りたい」といった一流バラードに比肩するクラスの名バラード「It's my fault」。こんな名曲がたかだか最高位3位、20万枚のアルバム曲でしかないのが不思議なくらいである(売れていないわけではないのだが…)。
筆者の大好物の小澤さんの泣きのギターがギュインギュイン鳴りまくる極上バラードである。サビで一気に盛り上がるアレンジ、ピアノの旋律、抑揚のあるメロディー、水原由貴特有の女性のリアルすぎる歌詞ではない歌詞(水原由貴の歌詞はストーカー気質だったり、もろシモで下品だったりすることがある)と黄金比のようなバランスで、そこに小澤正澄の泣きのギターが入れば最強である。 特に間奏とアウトロの泣きのギターは心が揺さぶられれ、余韻の残り方が尋常ではない。
31.stay cool
1枚目アルバム「Truth」収録
1995/12/21発売
作詞:水原由貴
作曲:小澤正澄
編曲:小澤正澄
初動:6.3万枚
最高位:14位
売上:21.4万枚
2コーラス目からはバンド編成(打ち込みだが)になり、バッキングのギターフレーズが冴えわたる。シンセ・とタンバリン(?)が入っているため、暗さ一辺倒ではなく、重苦しい雰囲気を漂わせながらも、楽曲としては高いクオリティに仕上がっている。
Mi-Ke
お次はMi-Ke。一曲のみの紹介となるが、もっと売れてもおかしくなかったなかなかの名曲である。
32.Please Please Me, LOVE
11枚目シングル「Please Please Me, LOVE」A面
1993/05/12発売
作詞:上杉昇
作曲:栗林誠一郎
編曲:栗林誠一郎
初動:3.6万枚
最高位:15位
売上:12.3万枚
ビーイング系唯一のアイドルユニットMi-Keのラストシングルとなった「Please Please Me, LOVE」。今までの60年代オマージュ色は薄く、かなり他のビーイング系の音楽性に近い。ただ、タイトルはビートルズの「Please Please Me」からの引用だろう。
特筆すべき点は栗林誠一郎が編曲まで手掛けていることだ。栗林誠一郎が彼のキャリアで唯一、作編曲の両方を手がけて他者に提供した作品である。後に栗林誠一郎がソロ活動のアルバムの中でセルフカバーしている(上記動画)。 最初に聞いたときは、栗林さんの編曲も結構ギターの主張が強いビーイング系らしい編曲をするんだなぁと思った記憶がある。宇徳敬子ソロを意識したのか?ほぼ宇徳敬子が歌っており、テレビ出演の際、村上遥と渡辺真美はマイクロをそれぞれ1つずつすら与えてもらえず、マイクを共用している有様であった。
WANDSの上杉昇による歌詞は、「♪夜明けが近づくその前にここからさらってほしい」と歌っており、女性目線版「このまま君だけを奪い去りたい」といったところか。改めて聴くと、宇徳敬子の歌唱力を感じられる。
KIX-S
お次は女性版B'zと呼ばれたKIX-S。こちらも一曲のみの紹介となる。世間からは忘れられているかもしれないが、意外にも大ヒット曲である。
33.また逢える…
1枚目シングル「また逢える…」A面
1992/07/21発売
作詞:浜口司
作曲:安宅美春
編曲:葉山たけし
初動:4.0万枚
最高位:4位
売上:61.2万枚
曲としては壮大なロッカバラードで、女性版B'zそのものである。筆者の記憶だと、葉山たけしのアレンジ曲で初めてシングルチャートでTOP10入りした記念すべき作品だったはず。(リリース日だけでいえばWANDSの「もっと強く抱きしめたなら」が一番早い。)
MANISH
お次もまた、女性版B'zと呼ばれたMANISH。やはりボーカル&ギターのKIX-Sの方が女性版B'zにふさわしいと思う。MANISHはあくまでもボーカル&キーボードなので。ただ、編曲が3人目のB'zと呼ばれた明石さんだったので、音楽性はMANISHの方が女性版B'zなのかも。そんなMANISHからも1曲。
35.ゆずれない瞬間
2枚目アルバム「INDIVIDUAL」収録
1994/10/24発売
作詞:高橋美鈴
作曲:栗林誠一郎
編曲:明石昌夫
初動:12.4万枚
最高位:5位
売上:27.3万枚
ビーイング系ど真ん中の楽曲。鈴木英俊のディストーションギターと明石昌夫らしい煌びやかなシンセ・キーボードが絡むキャッチーな楽曲。詩は自伝的な詩となっており、「♪いつか子供達に 話して聞かせよう ママの生き方 現在を彷徨うGypsy」という詩が頭に残る。かつてそう歌っていた高橋美鈴は引退後、ママになり子供達に話して聞かせてあげられたのだろうかと聴くたびに毎回考えてしまう。
宇徳敬子
次は宇徳敬子の名曲を。
35.きれいだと言ってくれた
1枚目アルバム「砂時計」収録
1994/10/10発売
作詞:川島だりあ
作曲:川島だりあ
編曲:池田大介
初動:16.2万枚
最高位:1位
売上:40.6万枚
川島だりあにしか書けないような詞世界ときれいなメロディー。夫が帰ってこない既婚女性の憂いを書いたその詞は、それまでのビーイング系の詞にはなかった新しい視点ではないだろうか。「♪眩いほどのダイアモンド 首に飾るより テーブルの向こう側にあなたが居て欲しい 小さな命を抱えて」という歌詞はこの女性はなんと健気なのだろうかと思わずにはいられない。 「♪汗ばむ素肌からめあいながら 私の中泳ぐ人」なんて部分は秀逸かつ文学的でオトナな表現だ。
アレンジも池田大介ということもあり、ナチュラルというか上品なアレンジ。ナチュラルな大人の女性ソロシンガーを志向して売り出していた宇徳敬子には一番合っていたアレンジャーなのではないかと思う。ただ、シングルとして出すとしたらちょっと素朴すぎるかなという印象も拭えない。アルバム曲だからこそ映える曲だ。
川島だりあ
次が本記事の名バラード紹介のラストとなる。先ほどの宇徳敬子の名曲を提供した川島だりあのソロ名義のバラードを一曲。
36.悲しき自由の果てに
4枚目シングル「悲しき自由の果てに」A面
1992/11/25発売
作詞:川島だりあ
作曲:川島だりあ
編曲:西田昌史
初動:ー
最高位:39位
売上:9.0万枚
だりあさんも本当に良い曲を書くなあ…というのが率直な感想。本人はFEEL SO BADという”バンド”という形態で活動したかったのだろうが、筆者はソロの川島だりあも見てみたかったというのが本音でもある。当時のMステを見ても思いっきりHRなんですよね、だりあさん。この路線で続けていればもっと売れたのかもしれないという淡い期待を抱かせてくれる。
編曲は西田昌史=西田魔阿思惟=アースシェイカーのマーシーということで、T-BOLANの「離したくはない」と同じ。西田昌史一派は”b.jin”(ZAINレコードの源流)に所属していたというのは過去の記事でも述べた通りだ。こんな名曲が、最高位39位、売上9.0万枚にとどまったというのは売れることの難しさを表しているように思う。お茶の間にはいささかHR過ぎたのかもしれない。
ビーイング系レーベルの解説記事はこちら↓
プレイリスト紹介
本編で紹介しなかった楽曲(特にZARDのバラードに分類するべきか迷った曲)も含めてビーイング系アーティストのバラードベスト集を作成した。ぜひドライブやベッドのお供にどうぞ。このページの先頭へ戻る
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