ビーイングブーム徹底解析 その12

~なぜZARDとWANDSがビーイングブームの象徴と言えるのか?~

 今回はビーイングブーム徹底解析の第12弾(おまけ)として、なぜZARDとWANDSがビーイングブームの象徴と言えるのかについて解説する。


年間トータルセールス1位,2位

 93年のアーティスト別トータルセールスでは1位ZARD、2位WANDSとビーイング系がワンツーフィニッシュを果たした。ビーイングブームの中でも突出した売上を記録したのがZARDとWANDSというわけである。 このランキングはセールス、つまり、金額であるので、シングルとアルバムでは単価が異なるため、枚数とは比例しないが、あくまでも参考までに93年の売上を表にまとめる。(以前の記事に記載されている表を再構成)

シングル年間売上(万枚)
年間順位 シングル名 アーティスト名 年間売上(万) 発売年月日
6位 負けないで ZARD 164.5 93/1/27
7位 時の扉 WANDS 144.3 93/2/26
9位 揺れる想い ZARD 139.6 93/5/19
10位 世界中の誰よりきっと 中山美穂&WANDS 132.6 92/10/28
11位 もっと強く抱きしめたなら WANDS 131.5 92/7/1
14位 愛を語るより口づけをかわそう WANDS 112.1 93/4/17
22位 もう少し あと少し… ZARD 84.4 93/9/4
25位 恋せよ乙女 WANDS 81.9 93/7/7
30位 君がいない ZARD 80.2 93/4/21
39位 果てしない夢を ZYYG, REV, ZARD & WANDS featuring 長嶋茂雄 72.6 93/6/9
53位 きっと忘れない ZARD 53.2 93/11/3
106位 Jumpin' Jack Boy / White Memories WANDS 28.6 93/11/17
- 振り向いて抱きしめて WANDS 1.6 92/5/13/
- IN MY ARMS TONIGHT ZARD 1.0 92/9/9
- 眠れない夜を抱いて ZARD 0.3 92/8/5
 ※「世界中の誰よりきっと」及び「果てしない夢を」は別名義のためトータルセールスには含まれない。

アルバム年間売上(万枚)
年間順位 アルバム名 アーティスト名 年間売上(万) 発売年月日
1位 揺れる想い ZARD 193.8 93/7/10
2位 時の扉 WANDS 160.9 93/4/17
10位 Little Bit… WANDS 84.7 93/10/6
30位 HOLD ME ZARD 49.9 92/9/2
48位 WANDS WANDS 32.4 92/6/17
89位 もう探さない ZARD 19.9 91/12/25
131位 Good-bye My Loneliness ZARD 14.4 91/3/27


 続いて本題の「年間トータルセールス」の比較をまとめた表を掲載する。

年間トータルセールス
ZARD WANDS B'z T-BOLAN
順位 1位 2位 4位 5位
トータルセールス(億円) 133.4 125.0 85.6 83.8
(内訳) シングル売上枚数(万枚) 523.2 500.0 379.8 370.3
シングル金額(億円) 52.3 49.8 35.3 32.9
アルバム売上枚数(万枚) 278.0 278.0 237.4 178.6
アルバム金額(億円) 81.0 75.2 49.1 50.8
 ※四捨五入のために内訳の合計が全体の数にならないことがある。また、売上枚数は推計値。

 ZARDの方がシングルの売上枚数でWANDSを上回っているために、ZARDが首位を獲得したという見方もできるし、単価の高いフルアルバムでWANDSを80万枚余り引き離したがために、ZARDが首位を獲得したという見方もできる。

 中山美穂とのコラボシングルが含まれていたらWANDSがぶっちぎりで首位だったのだが、WANDS単独の名義では2位に甘んじた。シングルの売上枚数では20万枚程度の差がついているのだが、93年最後のシングルであるZARD「きっと忘れない」に比べて、WANDSの「Jumpin' Jack Boy」のリリース日が2週遅かったことも影響したと思われる。シングルは単価が低いので20万枚程度の差でも、2.5億円ほどの差である。
 一方で、アルバムの売上枚数はなんと全くの同数であった!しかしながら、ZARDの方がフルアルバムの比率が高かったために、金額では5億円以上の差をつけている。
 ビーイングの中での順位はZARD,WANDSの首位グループとB'z,T-BOLANの2位グループでは、1.5倍程度の開きがあり、ZARDとWANDSが93年に突出したセールスを記録していたことがよく分かる結果となった。


ビーイングブーム時に大ブレイク!

 何をもって大ブレイクというかによってその基準は変わってしまうが、前年に比べて、大きく売上枚数が増えていればブレイクと言うことができるだろう。
 そこで、92年と93年発売のシングル、アルバムそれぞれの売上総数及び、1作あたりの売上を見ることで、ZARDとWANDSがどれくらいのブレイクだったか調べてみよう。
 (※あくまでもその年にリリースされた作品の”年間売上”のみを対象としており、年間売上とは異なることに注意されたい。)

 シングル
92-93年のシングル売上と1作あたり売上の推移のグラフ
 アルバム
92-93年のアルバム売上と1作あたり売上の推移のグラフ
 左軸と棒グラフが総売上枚数[万枚]、右軸と折れ線グラフが1作あたりの売上[万枚/作]である。
(左から、濃青:ZARD 黄:WANDS 赤:B'z 緑:T-BOLAN オレンジ:大黒摩季 水色:DEEN 薄青:TUBE)

 次に、上のグラフのデータの比(=93年の値/92年の値)をとって、セールスの伸び率を見てみる。

93年の年間セールス前年比
アーティスト名 シングル売上比 1作あたりシングル売上比 アルバム売上比 1作あたりアルバム売上比
ZARD 6.8 2.9 2.7 5.9
WANDS 4.3 98.2 3.2 49.1
B'z 1.3 0.4 1.3 0.7
T-BOLAN 1.7 0.5 2.1 2.1
大黒摩季 2.4 104.2 1.6 52.1
DEEN
TUBE 1.1 1.2 1.1 1.2
 ※赤字は前年比で2倍以上の伸びを示している。

 ZARDとWANDSのみが全ての項目で前年比2倍以上の伸びであり、それに続くのが大黒摩季、T-BOLANとなった。また、DEENはビーイングブーム下でデビューし瞬く間にヒットを連発するアーティストとなった。
 大きく伸びた上記のアーティストとは対照的に、B'zとTUBEはおおむね微増であった。

 この表からも、ZARDとWANDSがビーイングブームに乗じて大ブレイクを果たしていることが売上から裏付けられた。
 大黒摩季やDEENも年間トータルセールスはそれぞれ11位、32位ながらも、前年からは大きく売上を伸ばしており、その伸び率だけを見れば、ZARDやWANDSを上回っていると言っても過言ではない。


週間チャート1位を獲得!

 先程の表を見ると、ビーイングブーム下で売上が激増したアーティストには、大黒摩季やDEENといったアーティストもいる。しかし、週間チャート1位を獲得したアーティストを列挙してみると、やはりZARD,WANDSが頭1つ抜けていると感じられるはずである。
 次の表の集計対象は92/12/7付~93/11/29付の週間チャートである。

93年の週間チャート首位獲得作品
アーティスト名 作品名 発売日 首位獲得週数
ZARD 負けないで 93/1/27 1
ZARD 揺れる想い 93/5/19 2
ZARD きっと忘れない 93/11/3 1
WANDS もっと強く抱きしめたなら 92/7/1 2
WANDS 時の扉 93/2/26 1
WANDS 愛を語るより口づけをかわそう 93/4/17 4
WANDS 恋せよ乙女 93/7/7 2
中山美穂 & WANDS 世界中の誰よりきっと 92/10/28 3
B'z 愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない 93/3/17 4
B'z 裸足の女神 93/6/2 2
T-BOLAN おさえきれない この気持ち 93/2/22 1
T-BOLAN 刹那さを消せやしない/傷だらけを抱きしめて 93/6/16 2
TUBE 夏を待ちきれなくて 93/5/12 1
TUBE だって夏じゃない 93/7/1 1
ZARD 揺れる想い(アルバム) 93/7/10 5
WANDS 時の扉(アルバム) 93/4/17 4
B'z FRIENDS(アルバム) 92/12/9 1
T-BOLAN HEART OF STONE(アルバム) 93/5/26 3
TUBE 浪漫の夏(アルバム) 93/6/19 3

 ビーイングブームと言えども、実は、週間チャート首位を獲得できたのは、B'z,TUBE,T-BOLANに加えて、ZARD,WANDSの5組だけであったのである。
 ZARDはシングル3作、アルバム1作で、WANDSはシングル4(+1)作、アルバム1作で首位に輝いた。首位を獲得するということは、その週で最も注目されたアーティストであるということである。 やはり、大ブレイクというからには、週間チャート首位も獲得しているのが普通である。そういった点でも、大黒摩季やDEENは大ブレイクとまでは呼べないのではないだろうか。

 以上が、ZARDとWANDSがビーイングブームの象徴である理由である。次章では、ZARDとWANDSがビーイング系の象徴である理由を述べる。


ZARDとWANDSの共通点

 ビーイング系の特徴は過去の記事で述べてきたが、それに最も当てはまるのが、ZARDとWANDSであるということを簡単に紹介する。 ビーイング系の代表的な特徴である にいずれも当てはまることから、良くも悪くも”いかにもビーイング系”といったイメージがつきまとうのである。

 ビーイング系の特徴について詳細は最下部の関連記事で詳しく解説↓



 今回こそビーイングブーム徹底解析シリーズの最終回です。最終回までお付き合いいただきありがとうございました。


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