ビーイング系の特徴(続編)

 ビーイング系の大きな2つの特徴 を、2回にわたって解説してきた。
 今回は、続編(番外編)としてそのほかのビーイング系の特徴を取り上げる。

バンド名の共通点

 ビーイング系のバンド名にはある特徴がある。まずは、あるルールにあてはまるバンド名を列挙してみる。

実はソロシンガーにもあてはまる。  全員に共通すること、それは濁る音を有していることである。 これは、創業者の長戸大幸が濁点のつくハードな響きを好んだからである。 個人名に関しては、故意なのか偶然なのか少し微妙なところではあるが、川島だりあはビーイングに入った際に、わざわざ「川島みき」から「川島だりあ」に改名していることからも、全くの偶然とは考えにくい。 ビーイングの人たちは基本的にロック畑の出身で(房さんなんかは日本ブルース界の草分けだが)、ハードロックを好んでいたため、名前からハードな音が想像できるように命名した。 長戸氏が普段見聞きした言葉の一部を拝借するなどして、言葉遊びから名前を付けていたようである。 しかし、似た名前ばかりつけたために、歌唱やビジュアル、コンセプト等で個性をしっかり出せなかったバンドは、イメージが被ってしまいすぐに消えていったり、そもそもヒットせず終わってしまった。

 逆に、濁る音を有していなかったバンド名、シンガー名は くらいであろうか。 注目するべきことは、いずれも女性ボーカルであるという点である。 Mi-Keはグループサウンズのオマージュであったし、SO-FIはキーボードを中心としたサウンド、亜蘭知子はシティポップであった。 確かに、ロックではなかったわけだが、MANISHやKIX-Sはロックなサウンドだったので、基準はよく分からない。 むしろKIX-Sなんかは女性版B'zとも言われた存在である。 にも関わらず、KIX-Sというバンド名に濁点がつかないのは、渡辺プロダクション(ナベプロ)との共同プロデュースであったからであろう。(所属はビーイングではなく渡辺プロダクション)


美男美女ばかりのボーカル陣

 決してビーイング系に限った話ではないが、美男美女が多いのも事実である。
なんせ邦楽界にとどまらず日本一と言ってもいいほどのイケメン稲葉浩志美女坂井泉水に勝てるシンガーが後にも先にもいるだろうか。 もちろん彼らはアイドルではなく、ロックシンガーであったため、顔だけのファンというのはそこまでいなかったと思う。 しかし、ここまで人気になり得たのはルックスが良いというのも要素の1つにあるだろう。


 90年代はアイドル冬の時代と言われるが、「そら、こんなルックス良くて、歌唱力も音楽も本物のシンガーがいたらアイドルなんて流行るわけないやろ」と当時を知らない僕のような若造でも感じるものだ。
 WANDSの上杉昇もそのルックスで女性からの人気を誇っていたし、DEENの池森秀一やFOVの浅岡雄也も爽やかイケメンであった(性格は正反対と言って良いくらいだが…)。 男性は基本的に、BAD(Being Artist Development)オーディションやビーイング音楽振興会(音楽スクール)で発掘されていた
 一方、女性陣も、宇徳敬子をはじめとして、高橋美鈴や西本麻里(MANISH)、今や大女優の中谷美紀までいたわけで、それはもう美女がそろっていた。 これは、90年代前半、ビーイングは当時B級事務所であったスターダストプロモーションと蜜月関係にあり、美女を供給してもらっていたためである。

 T-BOLANの森友嵐士や大黒摩季は(世間一般にはルックスが良い方の類に入ると思うが、)今まで挙げてきたボーカルに比べると、ルックスは二の次で音楽性や歌詞、雰囲気で勝負というイメージがある。 大黒摩季なんかは「だんだんジャケ写が俺に似てきていた(笑)」と森友嵐士に言われる始末であった。(2021年のNHKBSの番組で共演した際の発言)

 バンド名やルックスだけで売れるかどうかが決まるわけではないので、あくまで一側面に過ぎないが、ビーイング系の躍進の一助になっていたことは間違いない。


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