織田哲郎のシングル売上ランキング

 今回は歴代作曲家ランキング第3位(2024年1月現在)の織田哲郎作曲のシングル売上ランキングをお届けする。

 織田哲郎の画像

織田哲郎のシングル売上ランキング

 まず一覧にして織田哲郎のシングル売上ランキングを示す。

※画面幅が狭い場合、左右にスクロールできます。

順位 アーティスト名 シングル名 作詞 作曲 編曲 発売年月日 最高位 売上枚数(万)
1 中山美穂&WANDS 世界中の誰よりきっと 上杉昇・中山美穂 織田哲郎 葉山たけし 1992/10/28 1 183.3
2 ZARD 負けないで 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1993/1/27 1 164.5
3 B.B.クィーンズ おどるポンポコリン さくらももこ 織田哲郎 織田哲郎 1990/4/4 1 164.4
4 ZARD 揺れる想い 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1993/5/19 1 139.6
5 DEEN このまま君だけを奪い去りたい 上杉昇 織田哲郎 葉山たけし 1993/3/10 2 129.3
6 FIELD OF VIEW 突然 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1995/7/24 2 122.4
7 WANDS 世界が終るまでは… 上杉昇 織田哲郎 葉山たけし 1994/6/8 1 122.1
8 相川七瀬 恋心 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1996/10/7 2 112.9
9 WANDS 愛を語るより口づけをかわそう 上杉昇 織田哲郎 明石昌夫 1993/4/17 1 112.1
10 AKB48 鈴懸なんちゃら 秋元康 織田哲郎 野中“まさ”雄一 2013/12/11 1 108.0
11 DEEN 瞳そらさないで 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1994/6/22 1 103.8
12 J-FRIENDS 明日が聴こえる 松井五郎 織田哲郎 是永巧一 1998/1/21 1 102.1
13 ZARD マイ フレンド 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1996/1/8 1 100.1
14 酒井法子 碧いうさぎ 牧穂エミ 織田哲郎 新川博 1995/5/10 5 99.7
15 織田哲郎 いつまでも変わらぬ愛を 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1992/3/25 1 92.9
16 KinKi Kids ボクの背中には羽根がある 松本隆 織田哲郎 家原正樹 2001/2/7 1 92.0
17 FIELD OF VIEW 君がいたから 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1995/5/10 3 89.8
18 ZARD この愛に泳ぎ疲れても 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1994/2/2 1 88.7
19 ZARD きっと忘れない 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1993/11/3 1 87.2
20 大黒摩季 チョット 大黒摩季 織田哲郎 葉山たけし 1993/2/10 4 84.0
21 ZARD 心を開いて 坂井泉水 織田哲郎 池田大介 1996/5/6 1 74.7
22 T-BOLAN すれ違いの純情 森友嵐士 織田哲郎 葉山たけし・T-BOLAN 1993/3/10 2 74.3
23 ZARD あなたを感じていたい 坂井泉水 織田哲郎 織田哲郎 1994/12/24 2 73.8
24 ZYYG 君が欲しくてたまらない 上杉昇 織田哲郎 栗林誠一郎 1993/5/19 3 70.3
25 ZARD 君に逢いたくなったら… 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1997/2/26 2 63.6
26 DEEN 翼を広げて 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1993/7/17 5 57.1
27 FIELD OF VIEW DAN DAN 心魅かれてく 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1996/3/11 4 52.8
28 KinKi Kids Anniversary Satomi 織田哲郎 家原正樹 2004/12/22 1 52.6
29 相川七瀬 トラブルメイカー 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1997/2/7 2 50.8
30 相川七瀬 Sweet Emotion 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1997/5/1 2 50.3
31 Mi-Ke 想い出の九十九里浜 長戸大幸 織田哲郎 織田哲郎 1991/02/14 5 48.0
32 ZARD 眠れない夜を抱いて 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫・池田大介 1992/08/05 8 45.8
33 DEEN Memories 池森秀一・井上留美子 織田哲郎 葉山たけし 1993/09/22 4 45.2
34 B.B.クィーンズ ギンギラパラダイス 長戸大幸 織田哲郎 織田哲郎 1990/12/19 2 43.9
35 V6 本気がいっぱい Lucy E 織田哲郎 上野圭市 1997/04/03 1 38.2
36 相川七瀬 夢見る少女じゃいられない 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1995/11/08 12 36.8
37 DEEN ひとりじゃない 池森秀一 織田哲郎 古井弘人 1996/04/15 3 35.2
38 TUBE シーズン・イン・ザ・サン 亜蘭知子 織田哲郎 織田哲郎 1986/04/21 6 34.5
39 相川七瀬 BREAK OUT! 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1996/06/05 4 33.6
40 Wink 咲き誇れ愛しさよ 大黒摩季 織田哲郎 葉山たけし 1993/09/08 9 33.4
41 ZARD My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~ 坂井泉水 織田哲郎 池田大介 1997/12/03 3 33.2
42 相川七瀬 LIKE A HARD RAIN 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1996/04/17 8 30.5
43 ZYYG ぜったいに 誰も 高山征輝 織田哲郎 ZYYG 1995/06/26 3 28.7
44 ZARD 風が通り抜ける街へ 坂井泉水 織田哲郎 徳永暁人 1997/07/02 3 28.1
45 Mi-Ke ブルーライトヨコスカ 長戸大幸 織田哲郎 明石昌夫 1991/06/13 9 27.2
46 TWINZER OH SHINY DAYS 小田佳奈子 織田哲郎 TWINZER 1992/11/01 12 24.3
47 TUBE サマードリーム 亜蘭知子 織田哲郎 織田哲郎 1987/04/10 3 24.2
48 ZARD 息もできない 坂井泉水 織田哲郎 葉山たけし 1998/03/04 3 24.1
49 相川七瀬 彼女と私の事情 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1998/02/04 6 23.5
50 近藤房之助 & 織田哲郎 BOMBER GIRL 康珍化 織田哲郎 織田哲郎 1992/01/12 20 22.6
51 相川七瀬 Nostalgia 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1998/05/08 7 21.8
52 T-BOLAN サヨナラから始めよう 森友嵐士 織田哲郎 明石昌夫・T-BOLAN 1992/05/27 13 21.6
53 大橋純子 愛は時を越えて 芹沢類 織田哲郎 重実徹 1992/10/01 30 21.3
54 ZARD Good-bye My Loneliness 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1991/02/10 9 20.9
55 KinKi Kids まだ涙にならない悲しみが 松井五郎 織田哲郎 亀田誠治 2013/10/23 1 20.4
56 坪倉唯子 ジュテーム 大津あきら 織田哲郎 池田大介 1993/01/27 25 20.2
57 相川七瀬 Bad Girls 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1997/11/12 5 20.1
58 MANISH 声にならないほどに愛しい 上杉昇 織田哲郎 明石昌夫 1993/01/08 28 19.8
59 織田哲郎 君の笑顔を守りたい 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1994/04/23 8 18.6
60 TUBE Beach Time 亜蘭知子 織田哲郎 織田哲郎 1988/04/30 4 17.7
61 相川七瀬 Lovin’you 相川七瀬 織田哲郎 織田哲郎 1998/11/06 8 17.7
62 相川七瀬 バイバイ。 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1996/02/07 19 16.7
63 織田哲郎 君の瞳にRainbow 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1992/11/26 17 14.8
64 DEEN 素顔で笑っていたい 池森秀一 織田哲郎 池田大介 1996/08/05 8 13.6
65 宇徳敬子 あなたの夢の中 そっと忍び込みたい 宇徳敬子 織田哲郎 葉山たけし 1993/08/04 17 13.5
66 B.B.クィーンズ ぼくらの七日間戦争〜Seven Days Dream〜 長戸大幸 織田哲郎 織田哲郎 1991/06/05 10 13.2
67 Mi-Ke 白い2白いサンゴ礁 長戸大幸 織田哲郎 織田哲郎 1991/12/04 19 13.1
68 相川七瀬 COSMIC LOVE 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎・DJ TAKE 1999/03/17 6 13
69 MANISH 眠らない街に流されて 大黒摩季 織田哲郎 明石昌夫 1993/07/28 11 11.8
70 Mi-Ke サーフィン・JAPAN 長戸大幸 織田哲郎 池田大介・Mi-ke Project 1992/06/10 10 11.7
71 相川七瀬 世界はこの手の中に / Heat of the night 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1999/07/23 7 11.7
72 織田哲郎&大黒摩季 憂鬱は眠らない 大黒摩季 織田哲郎 織田哲郎 1993/11/26 18 11.6
73 西城秀樹 走れ正直者 さくらももこ 織田哲郎 織田哲郎 1991/04/21 17 11.4
74 Mi-Ke 悲しきテディ・ボーイ 長戸大幸 織田哲郎 池田大介・Mi-ke Project 1992/04/08 10 10.2
75 上戸彩 愛のために 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 2004/02/04 6 9.9
76 T-BOLAN JUST ILLUSION 高樹沙耶 織田哲郎 明石昌夫 1992/02/26 22 9.8
77 清水宏次朗 ”Summer of 1985” 秋谷銀四郎 織田哲郎 織田哲郎 1987/07/25 15 9.6
78 近藤真彦 Baby Rose 織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1986/09/10 6 9.4
79 B.B.クィーンズ 夢のENDはいつも目覚まし! 長戸大幸 織田哲郎 葉山たけし 1992/11/26 64 8.8
80 FIELD OF VIEW Dreams 辻尾有佐 織田哲郎 徳永暁人 1996/11/18 14 8.6
81 MANISH 君が欲しい全部欲しい 大黒摩季 織田哲郎 明石昌夫 1993/06/02 14 8.5
82 関ゆみ子 ゆめいっぱい 亜蘭知子 織田哲郎 織田哲郎 1990/04/21 50 8.3
83 Mi-Ke 涙のバケーション 長戸大幸 織田哲郎 池田大介・Mi-ke Project 1992/12/31 19 8.0
84 南野陽子 KISSしてロンリネス 亜蘭知子 織田哲郎 明石昌夫 1990/11/21 9 7.8
85 相川七瀬 China Rose 相川七瀬・織田哲郎 織田哲郎 織田哲郎 1999/12/08 13 6.8
86 浅香唯 Chance! 麻生圭子 織田哲郎 井上鑑 1990/02/07 7 5.9
87 清水宏次朗 Love Balladeは歌えない 松本隆 織田哲郎 織田哲郎 1987/11/28 15 5.6
88 相川七瀬 Jealousy 相川七瀬 織田哲郎 織田哲郎 1999/09/29 8 5.5
89 荻野目洋子 明日は晴れる! 渡辺なつみ 織田哲郎 織田哲郎 1995/08/23 29 5.2
90 深田恭子 How? 岩里祐穂 織田哲郎 葉山たけし 2000/07/19 20 4.9
91 月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。) チャンス! 2℃ 織田哲郎 家原正樹 2007/11/07 9 4.7
92 相川七瀬 ~dandelion~ 相川七瀬 織田哲郎 織田哲郎 2001/01/31 15 4.6
93 島谷ひとみ 解放区 松井五郎 織田哲郎 明石昌夫 2000/09/27 28 4.4
94 上戸彩 三浦徳子 織田哲郎 清水信之 2004/06/16 8 4.4
95 清水宏次朗 Down Town Alley 松本隆 織田哲郎 織田哲郎 1987/03/10 25 4.3
96 田村英里子 虹色の涙 鈴里風太 織田哲郎 織田哲郎 1990/12/05 12 4.2
97 月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。) 恋☆カナ 古屋真 織田哲郎 家原正樹 2006/07/12 12 3.9
98 ZARD もう探さない 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1991/11/06 39 3.7
99 上戸彩 あふれそうな愛、抱いて 三浦徳子 織田哲郎 清水信之 2004/07/28 10 3.4
100 清水宏次朗 PARADISE IN SUMMER/Sunset Beach 秋谷銀四郎 織田哲郎 織田哲郎 1988/06/21 13 3.3
※筆者調べ

 堂々の第一位は中山美穂&WANDSに提供した「世界中の誰よりきっと」の183.3万枚であった。この曲は13週間(約3か月)にわたり週間チャートのTOP3に居座り続けるロングヒットを記録した。チャートアクションの詳細については過去の記事を読んで頂きたい。

「世界中の誰よりきっと」のチャートアクションについて詳しくはこちら↓ 1. WANDSはなぜ一躍人気になりながらも凋落していったのか 前編


解説~作詞家~

 以下ではTOP100にランクインした楽曲の詳しい分析を見ていく。


 作詞家別のランクイン作品数を見てみると、織田哲郎自身の手によるものが10%、最も多いのが坂井泉水との黄金コンビで約20%、相川七瀬(との共作を含む)が約10%となった。ビーイングの長である長戸大幸や上杉昇・大黒摩季・亜蘭知子といったビーイング系の作詞家、松井五郎・松本隆などといった職業作詞家が1桁%ながら複数ランクインしている。
 作曲のみを手掛けることが多い織田であるが、相川七瀬「恋心」がミリオンヒットしている他、ソロ曲「いつまでも変わらぬ愛を」が90万枚超の大ヒット、他にも相川七瀬の「トラブルメイカー」がハーフミリオンを記録するなど、織田哲郎自身による作詞作品のヒットも見られる。
 やはり最も多いのが、坂井泉水との黄金コンビで、ZARDの2ndシングル「不思議ね」以外の全ての曲がランクインしている。織田自身が「特定のアーティストに多くの曲を提供したのはZARDと相川七瀬くらい」と語っていたが、実際に2桁パーセントに達したのは坂井泉水と相川七瀬と織田哲郎自身のみで、その通りの結果となった。

 次に作詞家別の売上比率をグラフ化してみた。


 作詞家別の売上枚数を見てみると、織田哲郎自身の手によるものが10%(約400万枚)、最も多いのが坂井泉水との黄金コンビで約33%(約1370万枚)、これまた黄金コンビである上杉昇との組み合わせで約15%(約630万枚)を占めている。相川七瀬が作詞に関与している曲は、全盛期を過ぎてからのものが多数を占めるため、相川七瀬(織田哲郎との共作を含む)は約5%(約200万枚)と意外にも低い。提供曲数ではなくセールス面で見ると、なおさらZARD(坂井泉水)の存在感が際立つ結果となった。


 作詞家別の売上枚数を作品数で割ることにより、作詞家ごとの1作あたりの売上枚数を算出した。
 最も多いのが上杉昇との黄金コンビで約106万枚/作となんとミリオンオーバーの記録を叩き出した。6作しかコンビを組んでいないにもかかわらず内4作がミリオンヒットを記録するなど、上杉昇と織田哲郎の組み合わせはビーイングの絶頂期を象徴するクレジットである。また坂井泉水とのコンビでも約72万枚を記録している。ZARDの安定した全盛期(基本70万枚超を維持)を織田哲郎が支えた証拠であるとともに、良質な楽曲を二人で提供していたことも示している。
 全体の平均値が約40万枚/作であるので、上杉昇・坂井泉水の2人とのコンビの相性が抜群に良かったことが分かる。織田哲郎自身による作詞の作品や松井五郎や松本隆といった職業作詞家、森友嵐士や大黒摩季といった他のビーイング系ボーカリストとのコンビでは、織田哲郎にとって平均的な売上にとどまっている。


解説~編曲家~


 編曲家別の作品数を見てみると、織田哲郎自身の手によるものが約40%を占め、次に多いのが葉山たけしとの黄金コンビで約20%、これまた黄金コンビの明石昌夫との組み合わせで15%が続いた。「織田哲郎」+「明石昌夫」+「葉山たけし」のTOP3だけでおよそ75%を占めているのが、最大の特徴である。
 80年代~91年頃までのTUBE, 各アイドル、B.B.クィーンズ、Mi-Keなどへの提供及び相川七瀬への提供などで意外にも本人編曲が最多であった。また、ZARD,DEEN,FOVなどへの提供で数多くのタッグを組んだ葉山たけしが明石昌夫を上回る結果となった。織田哲郎と明石昌夫の組み合わせは、ZARD,MANISHくらいしかなかったので、アーティストの数の差が如実に現れた。明石昌夫はB'zやT-BOLANといった楽曲提供を(あまり)受けないアーティストを担当することが多かったことが影響していると思われる。


 編曲家別の売上枚数を見てみると、織田哲郎自身の手によるものが約27%(約1120万枚)、最も多いのが葉山たけしとの黄金コンビで約35%(約1470万枚)、これまた黄金コンビである明石昌夫との組み合わせで約15%(約610万枚)を占めている。ビーイングのもう一人のアレンジャー池田大介とのタッグはかなり少なく、売上にすると5%(約200万枚)を下回る結果となった。池田大介はシングルA面のアレンジを担当するようになったのが、明石昌夫がアレンジャーの仕事をしなくなった95,6年以降であるので、ビーイング系の売上的には既にピークを超えていたタイミングになる。
 作詞家別の売上ではTOP3を足しても6割にも届かなかった(約58.0%)のが、編曲家別の売上ではTOP3を足すと、8割に迫る(77.6%)値を記録しており、作詞家以上に特定の編曲家の占める割合が大きい。

 この編曲家別の売上の円グラフをよく見てみると、作詞家別の売上の円グラフとよく似ている部分があることに気付く。約1/3を占めていた坂井泉水のところに葉山たけしがすっぽり入り、約15%を占めていた上杉昇のところに明石昌夫がすっぽり入るのである。まあ、これはたまたまであると思うが、おもしろい結果が得られた。


 さらに、編曲家別の売上枚数を作品数で割ることにより、編曲家ごとの1作あたりの売上枚数を計算した。
 最多は葉山たけしとのコンビで77.7万枚/作と高水準の記録を叩き出した。いかに2人の相性が良かったかが分かる。明石昌夫は意外にも全体の平均値である約40万枚/作とほぼ同じであった。ZARDの全盛期で上回った分を、ブレイク前のZARDとMANISHで帳消しにしているからである。
 織田哲郎自身による編曲は意外にも平均値を下回っており、28.0万枚/作であった。これはCDの売れなかった80年代・90年代初頭が多く含まれることが影響していると思われる。


解説~売上枚数の分布と年代の分布~


 ”天才作曲家”織田哲郎と言えどもヒットを飛ばすことは容易ではなく、40万枚以上売れた曲は34曲と全体の約1/3という結果になった。すなわち、残りの2/3は売上40万枚未満である。90年代では”スマッシュヒット”という扱われ方であった30万枚前後の売上(20~40万枚)まで含めると、67曲と過半数を占める結果となった。
 しかし、ミリオンだけで13作、60~100万枚のヒットだけでも12作と90年代を中心にその打率は凄まじい。その打率をもっと詳細に見るために、90年代に限ってヒストグラムを作成してみた。


 90年代に限るとTOP100にランクインした80作のうち、40万枚以上売れた曲は31曲と全体の38.75%であった。意外にも90年代に限ったところで変わらなかった。そもそもTOP100にランクインしたシングルに限っているため、正確な打率ではないが、ヒットメーカーとしての打率の高さを少しは感じてもらえるだろう。


 90年代は常にヒットを放ち続けていた織田哲郎。ビーイングを離脱する97年までは、91年を除き8年間にわたり200万枚を超すセールスを記録している。93年の驚異的なセールスが目を引くが、生涯でのセールス(約4180万枚)のうちのおよそ3割を占めているのだから織田哲郎にとっても異常な年であったことが伺える。織田哲郎自身にとっては全然忙しくなかったようだが…(むしろ超絶忙しかったのは、明石昌夫・葉山たけしのアレンジャー陣だろう。)

 特に92~96年の5年間は常に400万枚の高水準を維持しており、その安定ぶりはすさまじい。ZARD・相川七瀬以外には数曲ずつしか提供していない織田哲郎がこれだけヒット曲を生み続けられたという事実は、そのセールスがネームバリューによるものではなく、生み出されるメロディーそのものが支持された何よりの証拠だ。


登場週数と売上の関係

 最後に最高位と売上の相関関係を(興味本位で)プロットしてみた。


 縦軸に常用対数を取ると、おもしろいことに最高位が15位より上のもの(青色)と、最高位が15位より下のもの(赤色)でくっきり傾向が別れた。ヒットチャートの上位に入ったシングルは、週間チャートの最高位と売上の強い相関関係が見られるが、15位に達することができなかったシングルはロングヒットである程度の売上に達したものが多く、緩やかな相関関係しか得られなかった。


 というわけで今回は織田哲郎のシングルランキングを徹底的に分析した。正直に言って、売上ランキングを100位まで調べるのは結構骨の折れる作業であった…。しかし、いかに織田哲郎が素晴らしい作曲家であるかを数字の面から明らかにできたという意味で、わりと意義のある回になったのではないだろうか。


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売上・チャート>15. 織田哲郎 シングル売上ランキング

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