ELTはZARDのパクリなのか!?徹底解析!
筆者は最近、ELTを好んで聴いている。「え?ELTってあのavexのELT?EVERY LITTLE THINGのこと?ビーイング系ちゃうやんけ」と思われる方も多いかもしれない。しかし、ELTにはビーイング系との深い関係性があり、この記事を読めば、ビーイング好きの私がELTを好む理由を分かっていただけるだろう。ZARD | EVERY LITTLE THING |
ELTとは
ご存知の通り、Every Little Thingは- ボーカル:持田香織(もっちー)
- キーボード:五十嵐充(イガちゃん)
- ギター:伊藤一朗(いっくん)
左から 伊藤・持田・五十嵐
最初期は、小室哲哉率いるglobeや初期B'zのようなエレクトリカルなダンスミュージックを軸とした音楽性であったが、2枚目のアルバム以降はZARDのような主たるビーイング系に近しいサウンドに変わっていった。ビーイング版のavexサウンドがPAMELAHだとすれば、avex版のビーイングサウンドがELTと言えるだろう。
音楽性が似ていたPAMELAH
そもそも、ZARDの音楽性は、以前に本サイトで定義した典型的な”ビーイングロック”で、メロディアスでキャッチ―なメロディーにハードロックギターと煌びやかなシンセサイザーが絡み合うサウンドを特徴としている。これは主に、織田哲郎・栗林誠一郎の作曲と明石昌夫・葉山たけしの編曲、坂井泉水の作詞、鈴木英俊のギターによって生み出されていたことは読者の皆さんもご存知のことかと思う。
そして、このメロディーとサウンド・歌詞を徹底的に研究したのが、ELTのリーダーにしてコンポーザーの五十嵐充(key.)である。熱心なZARDフリークであったことが様々なインタビューによって明らかになっている彼は、ZARDを模倣し、ELTのサウンドや歌詞などに色濃く反映させた。
以下ではELTの二枚目のオリジナルアルバムである「Time to Destination」を題材にしてELTとZARDの音楽性の関係について詳しく解説する。
ELTの2ndアルバム「Time to Destination」
1998/04/15発売
初動156.4万枚
初登場1位
最高位1位
売上352.0万枚
トリプルミリオンを記録したメガヒットアルバムである「Time to Destination」。実はこのアルバムにはZARDのエッセンスが見え隠れする。
全体を通して言えることは、葉山たけしが大黒摩季で多用していた以上にオケヒ(オーケストラヒット)を多用
以下では、収録曲を1曲ずつ詳しく見ていく。ZARDを模倣した、あるいはZARDからインスピレーションを受けたと思われる歌詞やアレンジをピックアップしていく。筆者の思い込みや考えすぎな部分も散見されると思うが、あくまで素人による分析なので、その点はご容赦頂きたい。
1. For the moment
4thシングル。初の週間チャート首位獲得作品。初動11万枚なので、首位を取れたのはかなり運が良い。1stアルバム収録曲とは異なり、エレクトリカルなダンスミュージックっぽさは消え、シングルでは初のミディアムテンポに挑戦したことも相まってややZARDっぽさ(ビーイングっぽさ)が出た曲。
歌い出しが「タクシー」から始まるのは、ZARD「Don't you see!」の「タクシー乗り場で待ってた時の沈黙は…」から着想したというのは考えすぎだろうか。 あからさまな引用はなく、ビーイング系の歌詞によく出てくる”抱きしめて”とか”瞬間”と書いて”とき”と読ますくらいしか見当たらない。(このあたりは一般的な表現なので難癖に近いが…)
サウンド面では、メンバーにギターに伊藤一朗がいるにも関わらずスタジオミュージシャンの鈴木英俊を起用。五十嵐は徹底的に、ZARDサウンドを追及していたことが伺える。これに関連して、ビーイングのメインアレンジャーであった明石昌夫もYouTubeで鈴木英俊に関するエピソードを話している。
スタジオミュージシャン鈴木英俊に関するエピソード
(切り抜きチャンネルより引用)
2. 今でも…あなたが好きだから
五十嵐充が奥菜恵に提供した楽曲のセルフカバー。サビ頭が日本語タイトルという図式だけでビーイング感が増している。 タイトルはZARDの「あなたを好きだけど」(4thアルバム「揺れる想い」)からインスピレーションを得たと思われる。逆接を順接に反転させている。- ELT 今でも…あなたが好きだから
- ZARD あなたを好きだけど (4thアルバム「揺れる想い」)
- ELT 海辺へと続く坂道 あなたと
- ZARD ゆるい坂道 自転車押しながら (「oh my love」from 5thアルバム「OH MY LOVE」)
メロディー・サウンドは、「揺れる想い」や「OH MY LOVE」に収録されていそうなアルバム曲という感じ。哀愁漂う雰囲気が栗林誠一郎によるアルバム曲(「Season」とか「あなたを好きだけど」など)を彷彿とさせる。
3. Face the change
最高位1位を獲得した7thシングルのアルバムバージョン。シングルとは若干異なるアレンジが施されており、聴いた感じイントロやサビのギターやシンセの音色・フレーズが多少変わっているようだ。この曲はZARDからの引用が特に多い。
- ELT 胸に懐かしく響くよ
- ZARD ふと懐かしく胸に藍い時間 (「Season」from 4thアルバム「揺れる想い」)
少し本筋と離れるが、続けて、「だけどさみしさ誘うのは季節のせいじゃない」と出てくるが、ZARDのヒット曲には「季節」というワードが出てくるものが多い。例えば、
- パステルカラーの季節に恋した(「負けないで」)
- いくつ淋しい季節が来てもときめき抱きしめたい(「揺れる想い」)
- あなたを感じていたい 白い吐息の季節の中で(「あなたを感じていたい」)
- せいいっぱいあなたを愛したあの季節(「きっと忘れない」)
- 輝く季節の中で夢は藍く染まるだろう(「君がいたから」)
さらに、まだまだ引用は続く。
- ELT 今は不器用な自分をきれいに流して 会えば独占欲から気持ち押し付けてた いつも強がってたよね
- ZARD 不器用な二人 今なら痛みもわかる いつも強がっていたの (「IN MY ARMS TONIGHT」)
- ZARD 会うとすぐに自我と独占欲と強がりがでちゃうの (「今すぐ会いに来て」from 6thアルバム「forever you」)
そしてサビ、サビ頭に「きっと」という単語を持って来ているのはわざとであろう。
- ELT きっと明日は優しくなれるはず 揺れる風景をずっと眺めている 澄んだ色した風に想い乗せて いつか笑顔が君に届くように
- ZARD きっと忘れない (「きっと忘れない」)
- ZARD きっと心が淋しいんだ (「Today is another day」from 7thアルバム「TODAY IS ANOTHER DAY」)
- ZARD 揺れる想い~(中略)~青く澄んだあの空のような (「揺れる想い」)
- ZARD 道行く人をただ眺めていた (「心を開いて」)
- ZARD 明日は/きっと/笑顔が/似合う (「気楽に行こう」from 6thアルバム「forever you」)
2番に入ってもまだまだ引用が見られる。
- ELT ブーツを脱ぎ捨てたまま 砂の上歩いて
- ZARD ハイヒール脱ぎ捨てて (「ハイヒール脱ぎ捨てて」from 6thアルバム「forever you」)
- ZARD 25時 砂の上に車止めて (「あの微笑みを忘れないで」from 3rdアルバム「HOLD ME」)
- サヨナラは今もこの胸に居ます
- サヨナラ言えなくて(「サヨナラ言えなくて」from 3rdアルバム「HOLE ME」)
- サヨナラ言った(「二人の夏」from 4thアルバム「揺れる想い」)
- これでサヨナラ(「あなたのせいじゃない」from 「こんなにそばに居るのに」cw)
2番のサビでは、1番の「揺れる風景を」の「揺れる想い」と2番の「瞳そらさず」の「瞳そらさないで」でポカリスウェットのCMソングで対になっている。
- ELT 君とどこかで偶然出会っても 瞳そらさず話ができるかな セピア色した空に願いかけて いつか笑顔が自慢できるように
- ZARD 瞳そらさないで 青い夏のトキメキの中で(「瞳そらさないで」)
サウンドは攻撃的で、ギターもアグレッシブなことからPAMELAHのようだと評す者もいる。しかし、サビ前のオケヒの連打はキャッチ―でT-BOLANの「じれったい愛」や「刹那さを消せやしない」を彷彿とさせる(ZARDでサビ前にオケヒ乱打はアルバム曲で数曲程度しかなかったのではないだろうか?)。このあたりのオケヒを含めたシンセの使い方の差で、ELTの方がPAMELAHより圧倒的にキャッチ―に聴こえるように思う。
4. Old Dreams~Instrumental~
わずか24秒のピアノのインスト曲。ここまでシングル級のキャッチ―な曲が続いたため箸休め的な意味があるのだろう。5. モノクローム
アルバム曲。最も露骨にZARDから引用している。メロディー・アレンジも「こんなにそばに居るのに」に酷似。- ELT 昔と変わらない映画館 初めてデートで行ったね 今は隣にあなたはいない
- ZARD 2年前の気持ちと変わらない 恋の予感は土曜日の映画観 勇気を出して良かった 来年の夏もとなりにいるのがどうかあなたでありますように(「来年の夏も」from 5thアルバム「OH MY LOVE」)
- ELT 映画のシナリオだけでいい~(中略)~そして あのセリフのように
- ZARD 映画のセリフ真似して(「好きなように踊りたいの」from 3rdアルバム「HOLD ME」)
- ELT いつの日かあなたと会い そしてあのセリフのように ごめんね たったその一言を素直に伝えたい
- ZARD ごめんね 内緒であの子と出かけたこと~(中略)~あの日言えなかった言葉は今もこの胸の中で眠ってる(「遠い日のNostalgia」from 3rdアルバム「HOLD ME」)
- ZARD 素直に言えなくて(「素直に言えなくて」from 2ndアルバム「もう探さない」)
- ELT 迷い道の出口を探して お互いすれ違う毎日
- ZARD 今はまるで迷い道の中 二人は出口探してる(「こんなにそばに居るのに」)
- ELT 交わす言葉はからまわり
- ZARD 言葉は空回りする(「もう逃げたりしないわ想い出から」from 6thアルバム「forever you」)
- ELT もう一度あの頃のように熱く激しく In your arms
- ZARD 出逢った頃のように熱く激しく(「こんなにそばに居るのに」)
- ZARD 声を聴かせて 熱く見つめて あの頃のように~(中略)~Let me hold you in my arms tonight(「IN MY ARMS TONIGHT」)
- ELT もう少しありのままに信じあえることできたら~(中略)~約束の場所へ行くときは
- ZARD 変わらぬ恋の約束 あの場所に置き去りのまま 信じることの強さを(「forever」from 2ndアルバム「もう探さない」)
特に、間奏明け~ラスサビまでの展開や譜割は笑ってしまうほど似ており、ZARDを意識して制作したことは明瞭である。
6. All Along
2曲続けてアルバム曲。本アルバムの中で唯一、ボーカルの持田が作詞に加わっている(作詞:五十嵐・持田、作編曲:五十嵐)。詞は持田自身の手による私小説的な内容となっており、ZARDで言えば「forever you」に相当する。作編曲も、ピアノ主体の王道バラードで、間奏からエレキギターが力強く入ってくる構成も同じである。ただ、一点大きく異なるのが、ZARDの「forever you」はラスサビで再びバラードに戻るのだが、ELTの「All Along」は最後まで勢いを保ったままエンディングを迎える。
7. Hometown
シンセとディストーションギターが絡み合うミディアムナンバー。ZARDにはここまでシンセが前面に出た楽曲はないのではないのだろうか。そこは五十嵐の作編曲ならではの部分と言えるだろう。故郷を懐古する青春旅立ちソングであり、歌詞全体としては坂井泉水がDEENに作詞提供した「Teenage dream」をどこか彷彿とさせる。
- ZARD 口笛吹いた my home town(「あの微笑みを忘れないで」from 3rdアルバム「HOLD ME」)
- ELT 大人になるとこんなことも忘れてしまっちゃうのかな?卒業したあとも仲良しだよね My Hometown~(中略)~人は皆変わるというけれどそんなことないよね?想い出の詰まったあの場所にまた集まりたいね
- ZARD 都会に行ってもずっと仲間でいようと約束したよね~(中略)~忘れかけてた何かを 見つけに行こうよ夢を探しに来たはずだったじゃない~(中略)~季節が過ぎても 心の中は あの時のままで誰も言わなかったけど…夢を手にしたら また3人で いつかあの故郷に帰ろう(「Teenage dream」)
- ELT 好きな人できたら連絡してね
- ZARD 私の事を思い出したらすぐ連絡してね 好きだから追わないと心に決めたの(「サヨナラは今もこの胸に居ます」)
ZARDって意外にも旅立ち・卒業ソングがほとんどないのではなかろうか。DEENに提供した曲には「翼を広げて」だとか「Teenage dream」だとかあるけど、自身の曲ではそういった歌は基本的になく、恋愛の歌で一貫している。
8. 出逢った頃のように
5thシングル。最高位3位。ここまでアルバム曲が4曲続いたところに、思いっきりキャッチ―で煌びやかなthe 90年代な曲が続くという構成になっている。
五十嵐在籍時代で唯一の日本語タイトルのシングルA面曲。小室哲哉をはじめとするavex組は、英語タイトルが原則であったのに対し、ビーイング系はサビ頭の歌詞をそのまま日本語タイトルにするのが多いという特徴があったが、avexのELTが初めて日本語タイトルを用いたという結構エポックメイキングな曲でもある。そのおかげでZARD感がとてつもなく強い。
1曲目の4thシングル「For the moment」と同様にギターには鈴木英俊を起用。こういうスタジオミュージシャンを起用する時は、いっくんは弾いてないのか、あるいは、他の旋律を弾いているのか、どっちなのだろうか?結構疑問である。いずれにせよ、いっくんを差し置いてでも、鈴木英俊を起用するあたり、ZARDサウンドがどうしても欲しかった五十嵐の執念が感じられる。
ビーイング系(織田哲郎)らしい、つまりは、ポカリのCMに似合いそうなキャッチ―で爽やかなメロディーにハードなディストーションギター、煌びやかでインパクト重視のシンセ。ビーイングサウンドそのものである。歌詞もかなり「揺れる想い」を意識したものになっている。女性ボーカルでこの類の音楽性を有していたのは、ZARDだけ(厳密に言えばMANISHやPAMELAHとかもいたが…売上はかなり劣るので…)だったので、ある意味、この曲がこの市場におけるZARDの寡占状態を破ったと言えるだろう。
- ELT あなたと出逢った頃のように
- ZARD 出逢った頃のように熱く激しく(「こんなにそばに居るのに」)
- ELT 周りのみんなの変わってく姿に
- ZARD こんなに自分が変わってくなんて(「揺れる想い」)
- ELT なんだか不思議ね
- ZARD 不思議ね(「不思議ね」)
- ELT いつまでもいたいね ときめき大事にして 青く澄んだ瞳に季節が変わっても きっと色褪せないはずだよ
- ZARD このままずっとそばにいたい 青く澄んだあの空のような君と歩き続けたい(「揺れる想い」)
- ZARD いくつ淋しい季節が来ても ときめき抱きしめていたい(「揺れる想い」)
- ELT 白い波のように優しい気持ちになれる
- ZARD あなたの声を聞いてると とても優しい気持ちになるのよ(「心を開いて」)
- ELT 重なり合う想いと喜びを抱きしめて
- ZARD 揺れる想い体じゅう感じて~(中略)~ときめき抱きしめていたい(「揺れる想い」)
- ELT そう来年もまたここにいると信じれるから
- ZARD 来年の夏もとなりにいるのがどうか私でありますように(「来年の夏も」from 5thアルバム「OH MY LOVE」)
歌詞を比べて初めて気づいたのだが、実は構成までかなり似通っている。(そもそもJ-POP自体がみんな似通った構成なので取り立てて言うほどではないかもしれないが…)
短縮Ver.のサビ
→1番(しかしAメロ~Bメロの構成が異なる)
→サビ(同じメロディーが2回繰り返しで、2回目の最後のキメの部分だけ異なるという構成まで同じ)
→2番(ここも1番と同様に若干構成が異なる)
→サビ
→間奏
→ラスサビ
という構成である。しかし、「揺れる想い」は前奏があるのに対し、「出逢った頃のように」はアカペラ始まりである。 さすがに、似すぎるとシングルとしてリリースできないと思ったのだろうか?
9. Shapes Of Love
6thシングル。最高位3位。ELTにとって初のドラマ主題歌。
イントロのギターでメロディーをなぞっていることもあり、キャッチ―なサビが耳に残るミディアムナンバー。オケヒの使い方としては、ZARD的というよりは、大黒摩季的(「チョット」や「あなただけ見つめてみる」に近い感じで、いずれも編曲は葉山たけし)な使い方をしている印象を受ける。ギターアレンジもZARDというよりはPAMELAH(小澤正澄)っぽい。
- デートの約束も照れずに言い出せるのに
- ELT 形のないものだから
- ZARD 形のない愛に理由もなく(「Just believe in love」)
10. True colors
本アルバム最後のアルバム曲。この曲もZARDからの引用が多い。- ELT 昨晩(ゆうべ)のキャンセルだって妙に怪しい気配
- ZARD デートのキャンセルだって怪しい匂いが(「好きなように踊りたいの」from 3rdアルバム「HOLD ME」)
- ELT この現実壊したいの
- ZARD この現実壊したいわ my life(「I Want You」from 4thアルバム「揺れる想い」)
- ELT 気がついたら振り回されている
- ZARD 気がついたら私 振りまわされてる(「好きなように踊りたいの」from 3rdアルバム「HOLD ME」)
- ELT いつもならば強がるけど今日の私あなたが思うほど強くない...
- ZARD いつも強がっていたの(「IN MY ARIMS TONIGHT」)
- ELT 少しぐらい束縛して!
- ZARD たまには束縛して my love(「IN MY ARIMS TONIGHT」)
メロディー・サウンドはアグレッシブな印象で、ZARDで言えば「I want you」を意識している感じ。
11. Time goes by (Orchestra Version)
8thシングルのアルバムバージョン。過去最高の初動30.3万枚を叩き出したものの、ミスチルに阻まれ最高位は2位ながら、累計ではシングルで唯一のミリオンを達成。ちなみに本作が初動で負けたミスチルのシングルの累計売上は、本作の半分程度だった。
言わずと知れた大名曲。シングルでは初のバラードながら、メロディーの良さが格段に違うため、これまで越えられなかったミリオンの壁を突破した。バラードは当たれば大ヒットするイメージだが、バラードはメロディーの良さに依存しがちなので、なかなかリスキーでもある。
globeのダブルミリオンシングル「DEPARTURES」に似ていると言われることもある。本アルバム収録の”Orchestra Version”の弦アレンジは五十嵐ではない。やはり弦アレンジは普通のアレンジよりも難しいのだろうか?(明石昌夫も弦アレンジで分からないことがあればちゃんとした音楽教育を受けている池田大介に聞いていたと発言している。)
荘厳で風格の漂う雰囲気はアルバムのトリを飾るのにふさわしい。ストリングスが入るとさらに厳かなイメージに仕上がるので、このアレンジでアルバムに収録したのは正解だったと思う。キーボードの五十嵐の作編曲によるバラードだからなのか、いっくんの存在感が間奏とサビくらいしかない。
歌詞もZARDを感じるところもあるが、サビの”信じあえる喜びも傷つけあう悲しみも いつかありのままに愛せるように Time goes by♪”のインパクトが強すぎるので、オリジナルの印象が強い。
- ELT 会えばケンカしてたね 長く居すぎたのかな
- ZARD このごろ逢えばケンカばかり 一緒に居すぎかな(「愛が見えない」)
- ELT そうねそんなところは二人よく似ていたね
- ZARD そんなとこ二人はよく似ているね(「Just believe in love」)
全体を通して
この記事のタイトル「ELTはZARDのパクリなのか!?」という問いに対して答えるならば、「Yes」というのが答えになる。しかし、それはヒットしたZARDをパクれば売れるだろうというような安直な考えに基づくものではなく、五十嵐充が本当にZARD及びビーイングの音楽が好きで、そのエッセンスを取り入れた結果である。現に、当時のビーイングのメインアレンジャーであった明石昌夫もELTの五十嵐充が自分のアレンジを模倣したことに対し、非常に肯定的な捉え方をしている。(下記動画参照)
五十嵐充が模倣したことに対する明石昌夫の感想
この記事を書くにあたって、ELTとZARDを聴き込んだが、今回初めて気付いたこともたくさんあった。ZARDファンの皆さんには是非”ELTを通してZARDを聴く”ということをやってもらいたい。ELTというフィルターを通すことで、ZARDに対する気づきや理解が深まると思うし、五十嵐充がいかにZARDを好んでいたのかにも気付けるはずである。
このページの先頭へ戻る
アーティスト別>ZARD>5. ELTはZARDのパクリなのか!?徹底解析!