明石昌夫のビーイング系シングル売上ランキング

 今回は明石昌夫のビーイング系シングル売上ランキングをお届けする。

 明石昌夫の画像

明石昌夫のシングル売上ランキング

 まず一覧にして明石昌夫の手掛けたビーイング系のシングル売上ランキングを示す。エイベックスに移籍して以降の作品は除いていることに注意。

※画面幅が狭い場合、左右にスクロールできます。

順位 アーティスト名 シングル名 作詞 作曲 編曲 発売年月日 最高位 売上枚数(万)
1 B'z 愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1993/03/17 1 202.1
2 B'z BLOWIN' 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1992/05/27 1 176.4
3 B'z 裸足の女神 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1993/06/02 1 173.6
4 B'z Don't Leave Me 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1994/02/09 1 144.4
5 WANDS 時の扉 上杉昇 大島康祐 明石昌夫 1993/02/26 1 144.3
6 ZARD 揺れる想い 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1993/05/19 1 139.6
7 B'z MOTEL 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1994/11/21 1 131.6
8 B'z ZERO 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1992/10/07 1 131.1
9 T-BOLAN Bye For Now 森友嵐士 森友嵐士 明石昌夫・
T-BOLAN
1992/11/18 2 118.3
10 B'z LADY NAVIGATION 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1991/03/27 1 117.3
11 B'z ALONE 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1991/10/30 1 112.7
12 WANDS 愛を語るより口づけをかわそう 上杉昇 織田哲郎 明石昌夫 1993/04/17 1 112.1
13 ZARD この愛に泳ぎ疲れても 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1994/02/02 1 88.7
14 ZARD きっと忘れない 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1993/11/03 1 87.2
15 ZARD あと少し もう少し… 坂井泉水 栗林誠一郎 明石昌夫 1993/09/04 2 84.4
16 T-BOLAN おさえきれない この気持ち 森友嵐士 森友嵐士 明石昌夫・
T-BOLAN
1993/02/10 1 82.6
17 ZARD 君がいない 坂井泉水 栗林誠一郎 明石昌夫 1993/04/21 2 80.2
18 ZARD こんなにそばに居るのに 坂井泉水 栗林誠一郎 明石昌夫 1994/08/08 1 78.8
19 T-BOLAN マリア 森友嵐士 森友嵐士 明石昌夫・
T-BOLAN
1994/09/05 3 78.2
20 T-BOLAN 刹那さを消せやしない / 傷だらけを抱きしめて 森友嵐士 森友嵐士・五味孝氏 明石昌夫・
T-BOLAN
1993/06/16 1 73.2
21 ZYYG, REV, ZARD & WANDS 果てしない夢を 上杉昇・坂井泉水 出口雅之 明石昌夫 1993/06/09 2 72.6
22 T-BOLAN じれったい愛 森友嵐士 森友嵐士 明石昌夫・
T-BOLAN
1992/09/22 2 68.4
23 B'z Easy Come, Easy Go ! 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1990/10/03 1 47.2
24 B'z 太陽のKomachi Angel 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1990/06/13 1 46.4
25 ZARD 眠れない夜を抱いて 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫・池田大介 1992/08/05 8 45.8
26 MANISH 煌めく瞬間に捕われて / 眩しいくらいに… 高橋美鈴・川島だりあ 川島だりあ 明石昌夫 1995/02/06 6 43.2
27 T-BOLAN わがままに抱き合えたなら 森友嵐士 森友嵐士 明石昌夫・
T-BOLAN
1993/11/10 3 40.4
28 BAAD 君が好きだと叫びたい 山田恭二 多々納好夫 明石昌夫 1993/12/01 16 37.6
29 B'z 愛しい人よGood Night… 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1990/10/24 1 35.5
30 B'z BE THERE 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1990/05/25 3 34.8
31 ZARD IN MY ARMS TONIGHT 坂井泉水 春畑道哉 明石昌夫 1992/09/09 9 32.2
32 Mi-Ke ブルーライト ヨコスカ 長戸大幸 織田哲郎 明石昌夫 1991/06/13 13 27.2
33 T-BOLAN SHAKE IT 森下桂人 森友嵐士 明石昌夫・
T-BOLAN
1995/08/28 4 26.3
34 T-BOLAN サヨナラから始めよう 森友嵐士 織田哲郎 明石昌夫・
T-BOLAN
1992/05/27 13 21.6
35 ZARD Good-bye My Loneliness 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1991/02/10 9 20.9
36 MANISH 声にならないほどに愛しい 上杉昇 織田哲郎 明石昌夫 1993/01/08 28 19.5
37 MANISH もう誰の目も気にしない 小田佳奈子 西本麻里 明石昌夫 1994/01/10 5 19.0
38 MANISH 眠らない街に流されて 大黒摩季 織田哲郎 明石昌夫 1993/07/28 18 11.9
39 Tears 眩しいほど綺麗になったね 川島だりあ 川島だりあ 明石昌夫 1993/10/01 18 11.4
40 T-BOLAN JUST ILLUSION 高樹沙耶 織田哲郎 明石昌夫 1992/02/26 22 9.8
41 宇徳敬子 どこまでもずっと 宇徳敬子 宇徳敬子 明石昌夫 1994/07/30 25 9.8
42 MANISH 素顔のままKISSしよう 大黒摩季 西本麻里 明石昌夫 1993/02/17 34 9.0
43 MANISH 君が欲しい 全部欲しい 大黒摩季 織田哲郎 明石昌夫 1993/06/02 14 8.6
44 MANISH 明日のStory 高橋美鈴・井上留美子 西本麻里 明石昌夫 1994/05/25 19 8.1
45 南野陽子 KISSしてロンリネス 亜蘭知子 織田哲郎 明石昌夫 1990/11/21 9 7.8
46 MANISH だけど止められない / いつでも いまでも いつかは 高橋美鈴 西本麻里 明石昌夫 1993/11/03 17 7.4
47 MANISH 走り出せLonely Night 高橋美鈴 栗林誠一郎 明石昌夫 1994/08/10 18 7.3
48 TUBE REMEMBER ME 前田亘輝 栗林誠一郎 明石昌夫 1988/12/01 12 6.3
49 南野陽子 夏のおバカさん 秋元康 南野陽子 明石昌夫 1991/06/08 17 4.1
50 ZARD もう探さない 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1991/11/06 39 3.7
51 栗林誠一郎 「トレンドは白。」のテーマ (白いMY LOVE) 湯川れい子 栗林誠一郎 明石昌夫 1990/04/04 48 3.4
52 ZARD 不思議ね 坂井泉水 織田哲郎 明石昌夫 1991/06/25 30 3.1
53 WANDS 寂しさは秋の色 上杉昇 栗林誠一郎 明石昌夫 1991/12/04 63 3.1
54 B'z LADY-GO-ROUND 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘
1990/02/21 39 2.5
55 宇徳敬子 どこまでもずっと 宇徳敬子 宇徳敬子 明石昌夫・UK Project 1996/08/05 32 2.5
56 森下由実子 Tears 向井玲子 川島だりあ 明石昌夫 1993/08/18 66 2.2
57 TWINZER I Will Wait For You 小田佳奈子 生沢佑一 明石昌夫 1993/02/17 55 2.1
58 BAAD 愛したい愛せない 山田恭二 川島だりあ 明石昌夫 1994/07/27 50 2.0
59 大黒摩季 STOP MOTION 大黒摩季 大黒摩季 明石昌夫 1992/05/27 67 1.9
60 BAAD どんな時でもHold Me Tight 山田恭二 瀬木祐未子 明石昌夫 1993/02/17 81 1.8
61 田中美奈子 ギリギリしてる/だからサヨナラ 川島だりあ 川島だりあ 明石昌夫 1991/07/24 50 0.9
62 森下由実子 SOMEBODY TO BELIEVE 向井玲子 川島だりあ 明石昌夫 1993/11/10 66 0.6
63 栗林誠一郎 Good-bye to you 高樹沙耶 栗林誠一郎 明石昌夫・栗林誠一郎 1991/11/06 93 0.6
64 安宅美春 孤独のRunaway 稲葉浩志 松本孝弘 明石昌夫・
松本孝弘・B+U+M
1990/11/10 87 0.5
65 BAAD 君はマニュアル通りには動かない 山田恭二 大田紳一郎 明石昌夫 1994/11/09 83 0.4
※筆者調べ。ビーイング時代のみ。

 堂々の第一位はB'z「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」であった。
特に注目すべきことは、トップ10のうち、実に7作がB'zで占められている。やはり明石昌夫は、B'z作品での売上に対する貢献度合いが大きい。

B'zのシングルミリオン記録についてはこちら↓ 1. B'zシングル連続ミリオン記録


解説~作詞家~

 以下では先程示した表をグラフを用いて可視化していく。


 作詞家別のランクイン作品数を見てみると、稲葉浩志の手によるものが20%強、坂井泉水が20%弱で続き、3番手が約10%で森友嵐士となった。B'z, ZARDが多いのは予想通りだが、意外にも分散している印象である。
 MANISHではサウンドプロデューサーを務めたため、アレンジした楽曲数自体は多いが、高橋美鈴の詞がシングルA面に採用された事例は半数にも満たないため、明石昌夫と高橋美鈴の組み合わせはわずか6.2%と少ない結果となった。その代わり、本人の楽曲に対しては1stシングルの「STOP MOTION」しか手掛けていないにも関わらず、MANISHへの提供で数を稼ぎ、計4作も大黒摩季が作詞でコンビを組んでいる。大黒摩季は葉山たけしとのコンビのイメージが強いだけに意外である。
 また、一連のBAAD作品も手掛けているため、山田恭二との組み合わせも一定数見られる。
 一連のB'z作品では、8作ものミリオンヒットと、11作ものNo.1ヒットを輩出している。また、ZARDやWANDS、T-BOLANを合わせると、計12作のミリオンヒット、計19作のNo.1ヒットを世に送り出した。
 少し話は脱線するが、”明石昌夫名義”でミリオンを記録したのは意外にも、「時の扉」「愛を語るより口づけをかわそう」「揺れる想い」の3作しかない。他は全て松本孝弘あるいはT-BOLANとの共同編曲である。


 次に作詞家別の売上比率をグラフ化してみた。


 作詞家別の売上枚数を見てみると、なんと上位4人で90%以上を占めるという集中ぶりが分かる。特に、1位の稲葉浩志との組み合わせで40%以上(1300万枚以上)の高いセールスを記録している。坂井泉水との組み合わせは23%と約1/4ながら、それでも700万枚を超えるセールス上杉昇や森友嵐士との組み合わせでも二桁%かつ300万枚以上のセールスを記録している。


 作詞家別の売上枚数を作品数で割ることにより、作詞家ごとの1作あたりの売上枚数を算出した。
 最も多いのが稲葉浩志で、なんと96.9万枚という驚異の数字を叩き出した。アベレージで100万枚近い値であることには開いた口が塞がらない。極端に低い売上(0.5万枚)であった「孤独のRunaway」(KIX-Sの安宅美春に提供)が足を引っ張っており、これを除いたB'z作品に限るとアベレージでも100万枚を超える。

 稲葉浩志が頭抜けて高い値を記録しているが、坂井泉水・上杉昇・森友嵐士が60~70万枚のハイアベレージで続いている。結局、ビーイングブーム時に週間チャート1位を記録しているアーティスト(B'z, ZARD, WANDS, T-BOLANの4組+TUBE)と一致していることは興味深い。他の作詞家は1作あたり10万枚前後で同じような水準である。
 意外にもマイナーなアーティストも手掛けていることに気付かされる。明石昌夫はB'z, ZARD, T-BOLANなどのチャート上位常連のアーティストを手掛けていることが多く、マイナーなアーティストのアレンジは池田大介が担っていることも多かったイメージがあるものの、意外にもマイナーなアーティストもアレンジしていた。


解説~作曲家 ~


 作曲家別の作品数を見てみると、松本孝弘(21.5%)よりも織田哲郎(23.1%)とのタッグが多い。これは松本孝弘がほとんど他アーティストへの提供がないのに対し、織田哲郎は職業作曲家として、ZARDに多数提供した他、MANISHやT-BOLANなど、多様なアーティストに楽曲提供していたためである。 また、栗林誠一郎(12.3%)がちょうど織田哲郎(23.1%)の半分であるのは興味深い。さらに栗林誠一郎は8作で5アーティストと、1アーティストに1~2作ずつ明石昌夫とのコンビで提供しているのが特徴である。

 栗林誠一郎と明石昌夫のコンビで、複数の曲を提供したのはZARDと栗林ソロのみである。栗林・明石コンビののシングルは以下の通りである。意外にも簡単に列挙できてしまうほどに少ない。
 明石昌夫と栗林誠一郎のコンビは、シングルA面ではなく、ZARDのアルバム曲において真価が発揮されていたので、シングルA面だけでカウントするのはナンセンスといったところか。


 作曲家別の売上枚数を見てみると、松本孝弘とのコンビで半数近く(43%)を占め、織田哲郎とのコンビが約20%、森友嵐士とのコンビが約15%と続く。栗林誠一郎とのコンビはわずか1桁パーセントにとどまった。B'zのアーティストパワーは本当に凄まじい。
 ほとんど松本孝弘はB'z、森友嵐士はT-BOLANの作品だけだが、織田哲郎の場合、ZARD以外の多様なアーティストにも提供している。外部への提供が少ない明石昌夫だが、織田哲郎とのコンビで南野陽子に「KISSしてロンリネス」を提供しているのは特筆に値する。
 作詞家のときと同様に、松本孝弘・織田哲郎・森友嵐士・栗林誠一郎の上位4人だけで85%以上を占め、その他の作曲家は少ない。明石昌夫はビーイングのエースであり多忙を極めていたため、他の作曲家提供の新人は葉山たけしや池田大介の方にまわされていたからだろう。


 さらに、編曲家別の売上枚数を作品数で割ることにより、作曲家ごとの1作あたりの売上枚数を計算した。
 作詞家のときと同様に松本孝弘や森友嵐士はB'z, T-BOLANの売上をほとんどそのまま反映しているため、高い水準である。織田哲郎や栗林誠一郎との組み合わせは意外にも低い値で、30~40万枚程度である。


解説~売上枚数の分布と年代の分布~


 明石昌夫の手掛けたシングルで、100万枚以上売れた曲は65曲中12曲で、割合にして20%弱という結果になった。”天才編曲家”明石昌夫恐るべしである。50万枚以上の曲は22曲で、およそ1/3でという比率である。明石昌夫がビーイングで手掛けたシングルのうち、3曲に1曲が50万枚を超えているというのも驚異的な記録である。
 一方で、半数近い32曲が25万枚を下回っているのも、売れるということがいかに難しいかを示唆しているとも言えるだろう。


 1993年の1300万枚超えをピークとして、その前後も500万枚以上の売上を叩き出している。92~94年の3年間だけで実に2500万枚以上のセールスを記録している。アレンジャーとして名実ともに日本一だったにも関わらず、95年以降、めっきり仕事を減らしてしまった。 これの理由は、明石昌夫自身のYouTubeにて何度も言及されているが、B'zの「MOTEL」のときにネタが完全に尽きてしまったからとのことである。
仮にネタが尽きてしまったとしても、ネタを使い回すのではなく、スッと身を引くあたりは彼の引き際の美学なのだろうか。


 というわけで今回はビーイング時代の明石昌夫のシングルランキングを徹底的に分析した。連名での記録が多いため、年間ランキングで1位を取ることはなかったが、やはり時代を築いたアレンジャーだけあってその数字は凄まじいものがあることがよく分かった。ビーイング系の音って明石昌夫の音といっても過言ではないくらい、明石昌夫がビーイングサウンドの本質みたいなところがあると個人的には思っている。
 少し話が脱線したが、ここまで織田哲郎→栗林誠一郎→明石昌夫と来たので、次回の葉山たけしが最終回になると思います。乞うご期待。


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売上・チャート>17. 明石昌夫 ビーイング系シングル売上ランキング

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