SARD UNDERGROUNDで○○サウンドが遂に復活!?

 このサイトにおいて初めて2024年現在のビーイング(2023年にB ZONEに改称)アーティストについて取り上げる。アーティストはSARD UNDERGROUND。

SARD UNDERGROUNDとは?

 まずは、SARD UNDERGROUNDの紹介を軽くしておく。
 この画像の4人が初期メンバーである。わざわざ初期メンバーと書いたということは、すでにメンバーが脱退しているのである。このあたりは、ZARDやWANDS、DEEN、FEILD OF VIEWなどと同様で、ビーイング系らしいと言えばビーイング系らしい。
 メンバーが脱退していることから読者の皆さんも容易に想像つくと思うが、長戸Pの主導で結成されたバンドであり、動画などを見てみても、あまりメンバーの主体性は感じられない。一応、建前としては、

 ZARDの作品に共鳴した4人でスタジオに入りZARDをカバーする日々が始まる。最初は、ただただ勉強のためとカバーをしていたが、坂井泉水さんの描く歌詞の世界にどんどん引き込まれ、寝る間も惜しんで真剣に向き合っていった。
 次第に長戸Pの耳にスタッフからメンバーの真剣な様子が伝わると、長戸Pは“ZARDの作品を後世に伝えていってくれる存在”として、彼女たちが表舞台に立てるように力を貸していくことに。そしてバンド名は、“ZARD”の“Z”を反転させ、“SARD UNDERGROUND”と名付けられた。 (公式HPより抜粋・筆者が要約)

ということになっている。まあ、”それっぽいストーリー”になっているが、要は、ZARDをコピーさせていた練習生の中から、長戸Pが楽器ごとに美人を選抜してバンドに仕立て上げ、ZARDの力を使ってもう一度金儲けしようということである。まあ、資本主義の世界の中でどう金儲けしようと批判されるものではないので、金儲けをすること自体は良いと思うが、なんでこんな安っぽいストーリー仕立てをしてしまうのかと思ってしまう。
 2019年に結成。わずか2年でギターの赤羽美羽が脱退。さらに、結成5年目に、ベースの杉岡泉美とキーボードの坂本ひろ美が同時に脱退した。その結果、今はボーカル神野友亜のソロプロジェクトになっている。ZARDも最初はバンドという体であったが、7枚目の「君がいない」以降はソロプロジェクトになったことを考えると、似たような時期である8枚目シングル以降でSARD UNDERGROUNDもソロプロジェクト化することは既定路線だったのかと勘ぐられても仕方がない。


PMELAH 小澤正澄サウンドが復活!?

 ここから本題に入っていく。SARD UNDERGROUNDがリリースしたオリジナルアルバムの楽曲の作編曲者の一覧を見てほしい。(トリビュート作品は除く。)
(※画面幅が狭い場合、横にスクロールできます。)
 さらに、表のままでは分かりにくいため、作曲者(左棒)、編曲者(中棒)、作曲者・編曲者計(右棒)の各比率の推移を年ごとに計算してグラフ化した。
 グラフを俯瞰して見ると、年を経るにつれて、青色(鶴澤夢人・長戸大幸)が減少し、赤色(小澤正澄)が増えていることが分かる。小澤正澄だけでなく、2022年には消えていたはずの徳永暁人(緑色)も復活しているのだが…。まあそれは置いておいて…。
 特に、編曲(各年の真ん中のバー同士)を比較すると、2021年には鶴澤夢人・長戸大幸による編曲が100%だったのが、2022年にはおよそ50%まで減少し、2024年リリースの2ndアルバム「涙色で」では20%弱にまで減少している。一方で、2024年には初めて小澤正澄による編曲の楽曲まで現れた。しかも、アルバムリード曲(「涙色で」)と先行シングル(「夢で逢いましょう」)である! 作曲(左バー)も同様に、2021年には赤色の小澤正澄はゼロだったのが、2022年には約40%にまで上昇した。2024年には3割程度までその比率を落としたが、先述のように編曲も手掛けているため、往年の小澤サウンドを楽しめるようになった。
 これはもしかして…PAMELAH小澤サウンドの復活かもしれないと期待できる。小澤正澄は少なくともここ10年以上、SKE48をはじめとした秋元康系列のアイドルやANGE☆Reveといった(マイナー)アイドル、声優などへの楽曲提供が中心で、ビーイング系アーティストへの楽曲提供は新山詩織への数曲程度と、片手で数えられるくらいにおさまっていた。 鶴澤夢人・長戸大幸によるアレンジはZARDサウンド(明石昌夫・葉山たけしアレンジ)とは違い、重厚感のない薄っぺらいサウンドになってしまっており、個人的には聴くに堪えなかった。しかし、PAMELAHサウンドの基となったZARDサウンドを引き継ぐ(はずの)SARD UNDERGROUNDだからこそ、今後、小澤正澄の楽曲提供(特に作編曲両方)が増えれば、俗に言うZARDサウンドに近い小澤サウンドが2020年代に聞けるようになる可能性が高い。
 もちろん、SARD UNDERGROUNDのメンバーの脱退は非常に残念なことである。その認識の上で非常に不謹慎な発言ではあるが、メンバーが脱退してソロプロジェクトになったおかげで、より小澤正澄が楽曲を提供しやすい下地が出来上がったのではないかと考える。というのも、今までは、3人ながらも一応バンドという形態を取っており、正規メンバーにキーボードとベースがいる以上、サポートメンバーのギターを目立たせることはしにくかったはずである。これはギターを軸にアレンジを行うギタリストである小澤正澄のスタイルに合わない。
 しかし、これからはソロプロジェクトになるため、アレンジャーが好き勝手できるわけである。そう、90年代のZARDにおいて、明石昌夫がシンセを大胆に導入し、鈴木英俊のディストーションギターをガンガン入れたように。美女が1人いるよりも4人いた方が顔ファンが増える可能性が高いので、人気面で言えば損失かもしれないが、サウンド面ではこの脱退劇はプラスかもしれないのだ。

明石昌夫・葉山たけしのサウンドについてはこちら↓ 12. 明石昌夫のサウンドの特徴
13. 葉山たけしのサウンドの特徴

ZARDの音楽性についてはこちら↓ 14. ビーイング系の音楽性とはいったい何なのか?


直近の小澤正澄による楽曲提供

 最後に、直近の小澤正澄の提供楽曲について記そう。最近、YouTubeで面白い楽曲を見つけてしまったのだ。それがこれ。
 この曲、実は”HiiT FACTORY”というグループが2024年の9月にリリースしたばかりの楽曲である。このHiiT FACTORYというグループは、公式Twitterによると、「オケヒット、シンセサイザーの音色とダンスビート、歪んだギターの90年代のJ-POPを令和に蘇らせるプロジェクト」だそう。 何より制作布陣が完璧ですよね。分かってるって感じの布陣(笑)。作詞川島だりあに、作編曲小澤正澄は鬼に金棒でしょ!実際聞いてみても、純度100%のPAMELAH!これはビーイング系の古参ファンなら興奮すること間違いなしだと思う。




 というわけで、初めて現在のビーイング系アーティストに触れたわけだが、基本的には90年代のビーイング系アーティストを中心に今後もお届けしていきます。ま、たまにはこういう変わり種の企画も良いのではないでしょうか。今後のSARD UNDERGROUNDと小澤さんの活躍に期待ですね!



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