「what a beautiful moment tour」映画館上映の感想

 今回はZARDのライブを映画館で見てきた感想を述べる。※若干のネタバレも含むが、その点はご了承いただきたい。

本映画の概要

 2022/5/21~5/27に全国の映画館で2004年の「what a beautiful moment tour」のライブ映像の上映がなされた。 筆者も実際に映画館に行って見てきたので感想を書こうと思う。


坂井泉水について

 坂井さんがとても緊張されていたことは目に見えて分かった。人前で喋るのは緊張するらしく、MCは少なめ。矢継ぎ早に楽曲が披露されていった。 確か「来年の夏も」の入りを2日連続で失敗したらしく、「しっぱ~い」と言っているシーンは坂井さんの素顔に近い雰囲気な気がした。

 2000年以降体調を崩しがちになったことが、亡くなってから明かされたが、万全のコンディションで望めたわけではなかったことが映像でも感じられた。 特に高音は苦しそうであった。これが加齢によるものなのか、病気によるものなのかの断定はつかない。 しかし、坂井泉水と同じ病を患ったことのある大黒摩季は、「社長にもプロデューサーにも分からない。誰にも痛いって言えなくて。でもレコーディングディレクターとエンジニアには分かるんですよ。声が変だっていうのは。それでも高音出すのに必死に挑んで…」と自身の経験を回顧しており、この頃すでに坂井泉水も相当病に冒されていたのではないかと推測される。


サウンドについて

 サウンドは大人数のバンドを従えたバンドサウンドで演奏されていた。元々はZARDもロックバンドであったことを考えると、初のライブツアーをするにあたって原点回帰したと言えよう。ピアノだけでも、電子ピアノと普通のピアノ、ギターも3人くらいいて、コーラスだけでも4人もいる大人数バンドであった。 全盛期のビーイングと言えば、オケヒの多用(乱用)であるが、「あの微笑みを忘れないで」のサビ前などで使われているオケヒは鳴らず。本ツアーはあくまで生音にこだわるということだったのだろうか。

 さすがに映画館で大音量で聴くと、アレンジの違いが素人でも比較的明瞭に感じられた。明石昌夫、葉山たけし、池田大介の三者三様のアレンジを楽しむことができる。 以前、話した「あなたを感じていたい」の編曲についてだが、重低音(ベースラインやギターサウンド)の雰囲気が池田大介っぽい感じがした。やはり池田大介の可能性が高いのではないだろうか。

あなたを感じていたいに関する記事はこちら↓
1. 13thシングル「あなたを感じていたい」を編曲したのは誰だ!?


GIZAの”発表会”

 このライブを”GIZAの発表会”と評しているサイトがあったが、実際にライブを見てみると、まさしくGIZAアーティストの発表会の様相を呈していた。 コーラスもよく知らないと言ってはいけないのだろうが、GIZAの知名度の低いアーティストを採用していて、明らかに「ZARDに関わった」という実績をつくって箔を付けさせようとしているようにしか見えない。

 ZARD自体も99年以降著しくGIZA化していたし、この時代にZARDを聴くようになったファンからすれば違和感もないのかもしれないが、軽いサウンドばかりに慣れたGIZAのアーティストたちが98年以前のハードなサウンドを演奏しているからか、ところどころ残念に感じられるところもあった。 特に心を開いてのイントロやアウトロのカッティングギターなんかはCD音源に比べるとクオリティーが落ちているように感じた。まあ、あくまでも主観なので、むしろ良かったという人もいると思うが…


本ツアーの意義

 そうは言っても、生で坂井さんに会えて、生歌を聞ける機会があったというのは素晴らしいし、坂井さんにとってもファンの人に直接会える数少ない貴重な場だったと思う。 結果的に、最初で最後の全国ツアーになったので、本ツアーはZARDにとってもファンにとっても非常に意義深いものになったであろう。


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