バックコーラスとしての大黒摩季

　記念すべき大黒摩季に関する1つ目の記事ではあるが、"シンガー"としてではなく、"バックコーラス"としての大黒摩季を取り上げる。

下積み時代

　87~89年のどこかのタイミングでビーイングに入った模様である。（入った時期に関しては諸説あり。） 斉田才が第3回BAD(Being Artist Development)オーディションの出身とライナーに書いているが、斉田才は間違ったことを書いたり、嘘をついたりすることで有名なので信用ならない。 なお、92年のデビューまでは本名の"大黒摩紀"名義でクレジットされている。

　92年のデビューまでの下積み時代には、ZARD、B'zをはじめ、KIX-SやKIX-Sのギターの安宅美春のギターソロアルバム、SILK(大森絹子)、西城秀樹(91~92年頃のみビーイングのプロデュース下にあった)などの楽曲に参加している。

　松本孝弘の91年の両A面ソロインストシングル「88~Love Story/Love Ya」の「Love Ya」では大黒摩季の喘ぎ声を聴くことができる（笑）。 一方で、91年のB'zのアルバム「IN THE LIFE」の1曲目「Wonderful Opportunity」では「chance!」と子供みたいな声を出している。 このように、あらゆる場面でコーラスとして重宝されていた模様である。この時のことをラジオで過去に語っている。
　ちなみに、ミュージックフェアで「緊張しすぎてお地蔵さまのようになっていた」というのは、
1. ビーイング系の特徴その1　タイアップ戦略とテレビ出演
で掲載した動画のときのことである。


信頼のコーラスワーク

　よく大黒摩季の紹介としてTVなどで、B'z,ZARD,TUBEなどのバックコーラスを下積み時代にやっていたと紹介されることが多い。 実際は、ソロデビューしてからも膨大な量のコーラスを担当しており、自らもトップアーティストでありながら、バックコーラスとしても膨大な仕事量をこなしていた。 大黒摩季本人は「私はソロだから、バンドと違い、ボーカルが作詞、ギターが作曲、ドラムがラジオ出演みたいに分担できない。作詞・作曲の締め切りに追われてテレビになんて出ている時間はなかった。」と言っているが、 大黒摩季の場合、自らの楽曲の制作だけでなく、バックコーラスとしても膨大な仕事量を抱えていたという"特殊事情"が大きかったと思う。

　ビーイングの場合、作曲や編曲ほどは担当する人が限られていたわけではなかったが（作編曲は提供曲の場合、ほぼ特定のメンバーが担っていた）、宇徳敬子や栗林誠一郎、坪倉唯子、近藤房之助、生沢祐一等といった一流の歌い手とともに全盛期のビーイングのコーラスワークを支えた。
　ZARDやB'z、WANDS、T-BOLANなどのロックボーカルのみならず、key west clubやWink、酒井法子や中山美穂といったアイドル、女優の楽曲にもコーラスで参加している。


膨大な量の参加作品数

　コーラスに参加した楽曲はあまりにも多すぎる上に、クレジットされていない場合もあるので、正確な数は分からない。ここでは、確実にコーラスで参加していることが分かっている作品及び本人がメインボーカルで参加した作品を列挙する。（抜け漏れが大量にあると思います。すみません…）

88年

アルバム
  1. 松本孝弘　Thousand Wave(5月)

90年

シングル
  1. B'z BE THERE(5月)
  2. 安宅美春　孤独のRunaway(11月)
アルバム
  1. B'z　BREAK THROUGH(2月)
  2. 安宅美春　孤独のRunaway(12月)

91年

シングル
  1. ZARD　Good-bye My Loneliness(2月)
  2. 西城秀樹　走れ正直者(4月)
  3. ZARD　不思議ね(6月)
  4. 松本孝弘　'88~Love Story(9月)
  5. 栗林誠一郎　Good-bye to you(11月)
アルバム
  1. 企画アルバム　ROYAL STRAIGHT SOUL(1月)
  2. ZARD　Good-bye My Loneliness(3月)
  3. 企画アルバム　ROYAL STRAIGHT SOUL.Ⅱ(9月)
  4. B'z　IN THE LIFE(11月)
  5. ZARD　もう探さない(12月)

92年

シングル
  1. 松本孝弘　#1090 ~Thousand Dreams~(3月)
  2. KEY WEST CLUB　UNBELIEVABLE(4月)
  3. ZARD　IN MY ARMS TONIGHT(9月)
  4. T-BOLAN　じれったい愛(9月)
  5. 中山美穂&WANDS　世界中の誰よりきっと(10月)
アルバム
  1. KIX-S　LES=BEAT(1月)
  2. KIX-S　ONE NIGHT HEAVEN(6月)
  3. 織田哲郎　ENDLESS DREAM(6月)
  4. 企画アルバム　ROYAL STRAIGHT SOUL.Ⅲ part2(7月)
  5. T-BOLAN　夏の終わりに ~Acoustic Version~(9月)
  6. T-BOLAN　SO BAD(11月)
  7. B'z　FRIENDS(12月)
  8. KIX-S　VIRGINITY(12月)
自身のシングル
  1. 大黒摩季　STOP MOTION(5月)
  2. 大黒摩季　DA・KA・RA(9月)
自身のアルバム
  1. 大黒摩季　STOP MOTION(6月)

93年

シングル
  1. ZARD　負けないで(1月)
  2. WANDS　時の扉(2月)
  3. B'z　愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない(3月)
  4. ZARD　君がいない(4月)
  5. ZARD　揺れる想い(5月)
  6. B'z　裸足の女神(5月)
  7. 織田哲郎　朝が来るまで(5月)
  8. ZYYG,REV,ZARD & WANDS featuring 長嶋茂雄　果てしない夢を(6月)
  9. DEEN　翼を広げて(7月)
  10. Wink　咲き誇れ愛しさよ(9月)
  11. WANDS　Jumpin' Jack Boy(11月)
  12. 前田亘輝　Try Boy,Try Girl(11月)
アルバム
  1. T-BOLAN　HEART OF STONE(5月)
  2. ZARD　揺れる想い(7月)
  3. 織田哲郎　Songs(12月)
自身のシングル
  1. 大黒摩季　チョット(2月)
  2. 大黒摩季　別れましょう私から消えましょうあなたから(4月)
  3. 大黒摩季　Halem Night(7月)
  4. 織田哲郎＆大黒摩季　憂鬱は眠らない(11月)
  5. 大黒摩季　あなただけ見つめてる(12月)
自身のアルバム
  1. 大黒摩季　DA・DA・DA(4月)
  2. 大黒摩季　U.Be Love(11月)

94年

アルバム
  1. DEEN　DEEN(9月)
自身のシングル
  1. 大黒摩季　白いGradation(1月)
  2. 大黒摩季　夏が来る(4月)
  3. 大黒摩季　永遠の夢に向かって(10月)
自身のアルバム
  1. 大黒摩季　永遠の夢に向かって(11月)

95年

シングル
  1. 酒井法子　碧いうさぎ(5月)
  2. FIELD OF VIEW　君がいたから(5月)
アルバム
  1. ZARD　forever you(3月)
  2. TUBE　ゆずれない夏(6月)
自身のシングル
  1. 大黒摩季　ら・ら・ら(2月)
  2. 大黒摩季　いちばん近くに居てね(5月)
  3. 大黒摩季　愛してます(11月)
自身のアルバム
  1. 大黒摩季　LA.LA.LA(7月)
　※シングルはB面の曲にコーラスで参加している場合でも、A面のシングル名を記載している。アルバムは、1曲でも大黒摩季が参加している曲が収録されている場合に記載。

　デビュー前に参加作品が多いのは当たり前だが、自身のデビュー後も93年までは多数のアーティストのコーラスを務めていることが分かる。 特に、93年は、1作のフルアルバム(DA・DA・DA)と1作のミニアルバム(U.Be Love)、4作のシングル、1作のコラボレーションシングル(憂鬱は眠らない＝織田哲郎との共作）とそれだけでも十分すぎるほど、非常にハイペースで創作活動をしているにも関わらず、列挙しただけでも12作のシングル、3作のアルバムにコーラスとして関わっている。 驚くべき忙しさである。
　また、外注作品のコーラスにも結構参加していることも見て取れる。


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